アラン 21年 2019年リリース オフィシャル 46%

アラン 21年 オフィシャル 46% アイランズ
この記事は約5分で読めます。

ボトルスペック

生産地域:アイランド
蒸留所名:ロッホランザ(アラン)
オフィシャル/ボトラー名:オフィシャル
樽の種類:シェリー
熟成年数:21年
ボトリング年:2019

Lochranza (Isle of Arran) distillery
bottler: Official
21 years
46 %
sherry casks
O/T: 9000 bottles

解説

スコットランドの蒸留所の中では比較的新しいアラン。シーバス・ブラザーズのマネージングディレクターだったハロルド・カリー氏が、同社を退職後、アラン島を調査。ロックランザ地区の水源をみつけ、アラン島にウイスキー蒸留所を設立します。1995年に蒸留を開始しました。独立資本での経営で、当時まだ主流だったブレンデッドではなく、シングルモルトの生産を主とした蒸留所でした。初代蒸留所のマネージャーはゴードン・ミッチェル氏、彼は現在の製法を確立させ、シングルモルトとしてのアランの味わいを確立させます。2007年には元ボウモア蒸留所のジェームズ・マクタガート氏が2代目マネージャーに。Whisky magazineなどを見ていると、ジェームズ氏に代わってからはクオリティの高いシングルモルトとして出荷すべく、樽の詰め替えを行ったようです。実際これが功をなしたのかどうかわかりませんが、2010年代以降のアランは徐々に評価が高くなっていき、今では日本においても人気蒸留所の一つになったのではないでしょうか。

http://whiskymag.jp/wm148_arran/

2019年、アラン蒸留所はアラン島内に第2の蒸留所、ラッグス蒸留所を設立します。こちらはピーテッドをメインとする蒸留所となるようで、ビジターセンターも設立されたとのこと。同蒸留所の設立に伴い、現在の蒸留所はロックランザ蒸留所と名前をかえたようです。会社名がIsle of Arran Distillers, ブランド名はアランとなっておりネーミングはややこしくなってしまったのですが、Googleで検索する限りでは公式ホームページではロックランザ、慣用的にはみんなアラン蒸留所と言っている、といったところでしょうか。

日本ではウイスク・イー社が代理店です。もともとアラン蒸留所の輸入を行うアランジャパン社でしたので、当然と言えば当然ですが、そういうご縁もあり多くのリリースが日本市場でも見かけるようになっています。

日本市場ではどうでしょうか。私の知る限りでは2010年代前半から徐々に人気が出てきたんじゃないかと思います。2014年前後くらいからオレンジアランなど、注目を浴びるボトルが出てきて、徐々にいろんなリリースが出てきました。信濃屋さんがアランのアンバサダーとしてPBをリリースしたり、ウイスキーフープが3本ほどリリースしたりと、日本にも限定ボトルがたくさん出ています。ここ3年ほどは2000年代以降の蒸留がメインになっていますが、90年代の蒸留と比較してバーボンバレルの良いものが増えてきた印象です。マッシュタンさんのPB(リボンちゃんラベル)に代表される、1996年蒸留のシェリーカスクは高評価のものが多い印象ですし、変わり種としてはウイスキーフープ向けの 2001-2017 15年 #2001はトロピカルがしっかりと出ていて驚いた記憶があります。安定してトロピカル感はリリースされていませんが、比較的安価ですし、ここ1-2年は安定した品質のリリースが増えてきており、日本市場でも人気の銘柄ではないでしょうか。

オレンジアラン
カラーズオブアランの第一弾リリースである、オレンジアラン。バーボンバレルの良い香味とフルーティーさが高い評判となりました。1998ビンテージは信濃屋さんなどでも時折リリースされていたビンテージでした。もしかしたら樽の詰め替えを行っており、それで味わいがブラッシュアップされたのかもしれません。
このボトルは、池袋のバーナデューラさんでいただきました。

考察

さて、このボトルはいまさら取り上げなくても、という気もするくらいリリース時から評価の高いボトルでした。飲んでみるとリンゴからマスカット・瓜のようなエステリーなフルーツ感があり、甘い焼き菓子のようなニュアンスも感じます。少しオーキーなところもありますが、全体的に飲みやすく、キャッチーでおいしいボトルでした。

このボトルで特に思ったことを2つ。アランの年代による味わいと加水についてです。今後のリリースで変わるのかもしれませんが、アランのシェリーカスクって90年代は優しい味わいのボトルが多く、00年代はシェリーもバーボンも濃厚なリリースが多いような印象を受けているんですよね。単純に熟成年数に合わせたリリースを同じ期間で飲んだからなのかもしれませんが、自分がアランと聞いて思い出す味わいは90年代の味わいです。まさにこの21年は最近飲む機会の減った90年代のアランを飲んでいるような感じで、「これこれ、この味わい」と思い返しました。

今回このボトルがわかりやすくフルーティなのは、アランの質の良さもそうなんだと思いますが、加水によるところも大きいのではないでしょうか。特にボトラーズ界隈ではカスクストレングスで50%越えのボトルが多い中、46%で2万円未満で分かりやすくおいしい部分のあるウイスキーというのは貴重ですよね。家飲みで選択肢の一つとして、またはバーで前半に飲みながらだらだら語らいあったりすると、より幸せになれるボトルなんじゃないでしょうか。

評価

評価:A+~A++

テイスティングコメント

香りは砂糖のたっぷり入ったアップルパイやマスカットのタルト、少し瓜やハニデューメロンの皮のニュアンス。

飲むと香りと共通するアップル、マラスキーノチェリー、シナモン、ハニーシロップ、パンやビスケットなどの香ばしい穀物感、華やかなオークとスパイス、余韻はスパイスとナッツ、バニラと共にかすかにフルーティーな余韻。

コメント

タイトルとURLをコピーしました