2020年私的振り返り その2

雑記
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その1を発表したのが午前3時。その後朝7時より家のことをしていて、やっとPCの前に立ったのが20時。前回の記事は5時間かかりましたが、この記事は4時間以内に書かないと年を越してしまうことになります。果たしてブログ投稿は2020年内に終わるんでしょうか。そういう不安を抱きながらこの記事は書いていますので、誤字脱字などがあっても皆さん大目にみてください☺

さて、この記事は後半の記事になります。いろいろありすぎた2020年を、自身の画像フォルダとにらめっこしながら時系列的にまとめていくこの振り返り。1~6月は以下のリンクよりお読みください。みなさんが共感できた出来事はあったでしょうか。

2020年7月~9月

コロナの感染ピークは一度落ち着き、GoToトラベル事業が徐々に開始されました。第2波が出たりといった話も出てきた時期で、未だに混乱は多く、当時働いていた職場は「県外に出かける際には申請が必要」という面倒な仕様でした。そんなわけでほとんど遠征は叶わなかったのですが、その中でも飲めたものをいくつかピックアップします。

現体制SMWSから初のPB 

Longmorn 7.235 17年 ミルフィーユの部屋でレモンティー for ミンモアハウス

実は一度だけ、大阪に行く機会に恵まれました。東京遠征までは叶わなかったのですが、ちょうどあの頃の大阪は、自身が置かれていた状況でも行きやすい時期でした。ちょうどミンモアハウスさんの周年がひっそり行われた時期なのですが、その時にリリースされていたのがこのロングモーンでした。リフィルバレルというユニークな樽使いの妙か、このレンジにしては複雑で原酒と樽、フルーツのバランスが良く、飲んでて飲み飽きしません。00年代のロングモーンの味わいも知ることができ、良いリリースでした。味わいはどんどんと変化していき、口に付ける度に印象が少し変わるんですよね。お値段もリーズナブルで、この価格なら飲んでおいて損がないんじゃないでしょうか。

ミンモアハウスに限らず、大阪では2人体制になったローズバンクさんや、いつもお世話になっているパークモアさんにも伺うことができ、変わらぬ皆さんにお会いでき少しほっとしました。SMWSの橋本さんもSMWSはもちろんのこと、Dramsjapanの代表としてもバーや多職種の方々とオンラインイベントをたくさんされていました。このあたりからでしょうか、徐々に所謂Withコロナ時代みたいな風潮が出てきたような気がしています。

Secret Islay

大阪遠征の前日に京都に行ったのですが、そこで飲んだボトルがとてもすごくて印象的でした。
その時にたまたま飲めたボトル、KYOTO FINE WINE AND SPIRITSさんのシークレットアイラ。蒸留所の名前は…といった野暮なことは抜きにして、ここの蒸留所のリリースでもここまで良いシェリー感は中々なかったと思います。良いリリースでした。

RUDDERより長熟レンジのリリースが立て続けにリリース

ネ
3つ並んだ写真は撮った覚えがなく、ネットからの広いものだったかもしれません。お気づきの点がありましたらご指摘お願いします。左から1984カリラ、1987シークレットハイランド エイドロン(グレンモーレンジ)、1978 グレンファークラス Seek the Ultimate

秩父ウイスキー祭より日本でのリリースを開始したRUDDER。すっかりエイドロンやクーパーズチョイスなどのリリースがおなじみになってましたが、7月には70年代~80年代のリリースを続けて出すということで話題になっていました。同氏がこの高騰を見越して前の会社にいたときにストックされていたのだと思います。当時の価格のままのリリースで、今年としては値ごろ感のある価格でした。

エイドロン シークレットハイランド 1987
良く行くバーでの入荷。高価格帯でも入荷してくれるバーには感謝しかありません。
ケイデンヘッド カリラ 1984
ケイデンヘッドのカリラ1984. 2017年ボトリングのようで、175THのタグが付いています。

RUDDER向けボトル以外にも、ハイランダーイン秩父向けのマッカランなどもリリースされていました。このボトルやブティック向けも中々良かったです。

シークレットスペイサイド 1992-25年 
ブティックウイスキー シークレットスペイサイド 23年

ハイランドパーク 2006-2019 For TWH

ウイスキーフープ向けのハイランドパーク第2弾。樽が割れちゃったらしく恐ろしく少ないアウトターンでしたが、このリリースは本当に良かったです。ヨーロピアンオークシェリー樽の熟成では抜群にハイクオリティなボトルで、これが飲めなければ近年シェリーは飲まない方が幸せです、と断言できるくらいにはお手本となる近年シェリーのボトルと思いました。

ダルユーイン2011 THE PRAYER The WhiskyFind for bar shamrock

例年だったらどこかで遭遇するはずのOdinにも会えずじまいの2020年でしたが、9月にはShamrockさんからWhiskyFindとのジョイントボトルがリリースされました。前川さん曰く「ダルユーインと言ったら僕らは花動のイメージ。だからシェリー樽熟成にこだわった」と仰っていましたが、花動のカスクストレングス版へのグレードアップといわんばかりの上品さがあるシェリー感でした。毎度思うんですが、前川さんとモルトヤマの下野さんの近年シェリーのセレクトは毎度秀逸だと思います。今回もその期待に応えてくれるリリースでした。

カリラ 1995 コニサーズチョイス

今年いい意味で裏切られたボトルの一つでした。
リフィルシェリーの妖艶さを纏ったカリラ。樽も良いんですが、原酒の質も安定して良く、素晴らしいカリラでした。80年代のカリラは一定の評価を受けているような気もしますが、G&Mが樽詰めしたカリラは特に素晴らしいものが多いですね。

その他

信濃屋さんではサン・ムーンが久しぶりに復活など、新体制になってからもガンガンリリースされていました。どちらかというとまだ手が届きやすい価格帯のボトルが多かった印象でしたね。

bsh

個人的に印象的だったのは、00年代後半のレダイグ。なかなか良かったんですよね。
KYOTOさんのレダイグを飲んでからこのあたりは注目するようになりました。

モルトヤマからはWhiskyFeelsのPBとして、オルトモアが出ていました。
このオルトモアは加水で飲みやすいフルーツ感があって、中々面白かったです。

1987のグレンモーレンジは、ネクター向けも出ていました。これも中々良かったです。

ネクター向け シークレットハイランド 1987 中身はグレンモーレンジ

ウイスキーフープからはチェアマンの会社である曽根物産70周年ボトルのラフロイグが和紙ラベルとしてリリースされました。個人的には同時期リリースのエクスチェンジ向けラフロイグよりもこのみな、90年代のラフロイグの味わいでした。

グレンマッスルのアイラ100%キルホーマンが出たのもこの時期でした。大いに盛り上がりましたね。

おうちでノマーレの開催

富山ウイスキーノマーレがコロナ禍でできなくなり、オンラインで何かしたいですねと実行委員会の方々と話をして、実現に至ったのがオンラインイベント、おうちでノマーレでした。幸いサンプルボトルは売り切れ、滞りなく行えたことに深く感謝申し上げます。これに関しては法律やスキルの問題があり、特にモルトヤマの下野さんや、三郎丸蒸留所の稲垣さんや皆さん、ハリーズ高岡の田島さんにはとてもお世話になりました。一人でも協力が欠けるとできないイベントでしたし、イベント一つやるにも色々と障壁があるんだなと実感したものでした。

2020年10月~12月

2020年9月~10月は転職や引っ越し、また仕事が大量にあったため、ブログどころかウイスキーを飲むのもままならない状況でした。そういえば無限くら寿司なんかが流行りましたね。

自宅は下の写真の通り、開栓済ボトルだけでこれだけある状況で、新規ボトルはなかなか開けられておらず、定点観測のテイスティングが多かったです。その中でも飲みに行ったときに飲めたボトルをいくつか。

グレントファース 1993-2020 55.4% モルトヤマ7周年記念ボトル

このボトルは度肝を抜きました。古樽感のあるオールドシェリー界隈の味わいに、少し焦げ感を伴う麦感は、例えば90のJIS向けトファースにも共通するトファースらしさ。それがハイレベルに一体感を伴っていて、今年を代表するボトルに相応しいボトルといって間違いないでしょう。こんな言い方は野暮ですが、フープで言うなら和紙ラベルクラスでしょう。

このボトルは最初売れ残っていたこともありましたが、しっかりと買わせていただきました。中々こんなリリースを連発するのは難しいと思いますが、こんなリリースができるようになったのを見せつけられたような気がして、周年ボトルにもってこいのボトルと思います。モルトヤマさん7周年おめでとうございます。

タリスカー 1998 オフィシャル

だいぶ前から噂されていた、オフィシャルのタリスカー。案の定10万という高額ボトルでしたが、それ相応のおいしいボトルでした。

キルホーマン 100%アイラ ウイスクイー20周年

アランの代理店として始まったアランジャパンを前進に、今年で20年を迎えたウイスク・イー。今となってはアランも相当人気ですし、キルホーマンも数年前から注目の蒸留所といっていいのではないでしょうか。

このボトルはウイスクイー20周年を記念してリリースされた100%アイラですが、明らかに今までリリースされてきた100%アイラとは異なり、フロアモルティングらしいうまみのあるしっかりとした麦感を纏っており、印象的なボトルでした。今後のキルホーマンも目が離せません。

ART SESSION BOWMORE 2000 RUDDER

ラダーからは2000のボウモア。正直2000年のボウモアかー、とスペックと価格をみて「最近のアイラは高騰しちゃったよなあ」とスルーを決め込んでしまっていたことを白状します。このボトル、めちぇくちゃトロピカルで、トロピカル原理主義者の脳天を打ち砕くような嫌みのないトロピカルでした。気付いた時にはもう遅く、軒並みSOLD OUT。スペックスルーしてしまったことを後悔したボトルの一つでした。

エイドロン ディーンストン 1999 RUDDER

このディーンストンは久々に飲んで即買いしたボトルでした。99のディーンストンってネクター向けがおいしかったりと、元々注目していたビンテージでしたが、このエイドロンはおいしいディーンストンが備えるべきポイントをしっかり有していて、時間はかかると思いますが間違いなくおいしくなるであろうボトルと感じました。昔ジュエルズオブスコットランドから1992ビンテージが出て、1年後くらいに桃感が出てきたんですが、それと似た系統の味わいで今後が楽しみです。

しかし、これは個人的な意見ですが、確かにフルーティーなリリースなのですが、過去に所謂北梶フレーバーといわれていたフルーティーなニュアンスとはどこか異なる、麦感から出てくるフルーツのニュアンスでした。僕はこの系統のウイスキーがとても好きで、良い意味で裏切られたリリースでした。

その他、こんなリリースもありましたね。芯がしっかりしていて良いベンネヴィスでした。
96のネヴィスはいろんなリリースがありましたね。来年は3万くらいになってしまいそうな気がします。

ジャパニーズウイスキーのリリースの始まり

2007年より秩父蒸留所が蒸留開始、2017年には新興のクラフトディスティラリーが日本各地でリリースされていきました。2020年はそういういみで節目にあたり、秩父10年や静岡、三郎丸が3年熟成のウイスキーがリリースされました。

時間の都合上割愛しますが、特に三郎丸はクラウドファンディングをやって1年でここまで仕上げるかと、ちょっとびっくりしてしまったのが本音です。

ドリンカーとして、1年を振り返っての感想

前編でも記載したように、今年は公私ともに色々ありすぎた1年でした。例年通りウイスキーに迎えたかというと答えはNoで、やはり東京や大阪をはじめとする各地のバーに遠征がいけないのは非常に残念な点でした。正直、ウイスキーに対するモチベーションというのは若干落ちていた点が否めません。忙しかったりと環境のせいにするのは簡単なんですが、どちらかというと各地のバーテンダーさんにお会いしていたことがウイスキーに対する大きなモチベーションになっていたようです。バーはウイスキーを飲むところなんですが、ウイスキーで楽しませてくれるところでもあります。このことを嫌でも思い知らされた1年でした。

一方地元のバーがかなりニューリリースを積極的に入れてくれており、改めて今置かれている環境の充実さを感じた1年でもありました。この5年でこの地域は明らかに変わり、ドリンカーも少しずつ育ってきています(フェスでブース側に立つと、その地域のドリンカーの特色が良くも悪くも見えてしまうものです)。是非誇りをもって地域の主要なモルトバーの方々は、お店を続けてほしいと切に願っています。

今年はドリシェアにも参加させていただくことができ、ドリンカーのつながりを持たせてくれた年でもありました。この場で言うのも変なのですが、是非ドリシェアを発展してほしいと願っています。

Twitter界隈の勢いはとどまることを知らず、ウイスキー好きがどんどん広がっていくのはうれしい一方、僕の上の年代のコアなウイスキー好きは、少しウイスキーから離れていっているのを感じます。現行ボトルを飲まなくなった人、という定義でいけばかなりの人がそうでしょう。かつて自分が尊敬していた人の多くが(やむを得ない事情があることも含め)、現行ボトルを飲む機会がなくなってきているのかな、と少し寂しくなることもありました。正直自分が上の年代の方々は、昔は安くおいしいボトルがたくさん買えたわけですから、このことは当たり前で、責めるべきことではありません。しかし先人が培ってきたものが継承されずにいるのはどこか寂しくもあります。数年前まで若手といっていた自分も若手ではなくなってしまいました。最近飲み始めた方々の熱量を挫くことが無いようにしなければなと、振る舞いを徐々に変えるべき時に来ているのだろうと感じます。そのためにも今流通している現行のウイスキーはなるべくいただくことはこれからも続けていきたいですね。資金力的に敵わないこともあるのですが、ウイスキーを長く楽しむためには、必要なことなのだろうと思っています。

繰り返しになりますが今年はコロナの影響でバーが大変な状況になりました。現在進行形の話で、今後この培われてきた文化が崩れるんじゃないかと心配になります。また、酒屋やインポーターが日本向けのプライベートリリースを出すことも増えました。これ自体は大変喜ばしいことなのですが、リリースが重なりすぎてバーやドリンカーがボトルを追えなくなってきているな、と感じます。昨年まではなんとかギリギリ追っていた自負があった自分も、今年の後半は全然追えませんでした。ましてや先述したように人の代替わりも感じるでしょうから、今までの傾向によらない、予測不能な売れ方も売れているように感じます。この高騰とリリース数の増大、購買層の変化は、今後ボトラーズを中心としたウイスキー業界を取り巻く大きな問題になると感じており、もう自分一人でどうにかなるものではないのでしょう。今後酒屋やインポーターも競争が厳しくなり、差別化も大きくなるのでしょう。混沌とした時代になってきたなと感じます。いちドリンカーとして、この時代の流れをしっかりと目に焼き付けていきたいなと感じます。

来年の抱負

ウイスキーは高騰を続けるでしょうし、これ以上ボトル購入できる余裕もなさそうな自分です。何とか現行は追い続けようと思います。また、今年もこんな状況でもいろんな人とかかわることができましたし、人とのつながりは今まで以上に大事にしていかなければなと思っています。

具体的な野望的なもので言うと、Whiskybaseの日本語版みたいなサイトを作りたいなと常々思っています。なぜかというと、今日本で起こっている、このインポーターや酒屋、PBの乱発した状況をなんとか保存したいのです。日本のボトルはほとんどWhiskybaseには保存されず、リリースされっぱなしが現状です。混沌としているのは、市場が活性化している証拠でですし良いと思うのですが、この流行を文化として紡ぐには、何らかの形で保存をしなければと思っています。しかしいかんせんスキルと時間が足りません。それでも何とかしたいとずっと思っていることですので、いつかなにかすると思います。その時は皆さんご協力をお願いいたします。

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