ミルトンダフ 1966-1990 61.4% 23年 セスタンテ アンティカ

ミルトンダフ
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ボトルスペック

生産地域:スペイサイド
蒸留所名:ミルトンダフ
オフィシャル/ボトラー名:セスタンテ
樽の種類:シェリー
カスクナンバー:
ボトリング年:1990

Miltonduff 1966 SESTANTE ANTICA CASA MARCHESI SPINOLA selection no.1

ミルトンダフ 1966-1990 61.4% 23年 セスタンテ アンティカ

解説

イタリアのパルマに設立されたセスタンテ。エルネスト・マインアルディは、70年代にG&Mとマッカランの正規代理店で働き、小さなバーでウイスキーを販売していました。1975年から76年にかけて、なんとパルマからインバネスまでスクーターで旅行し、その中でゴードン・マクフェイルのジョージ・アーカートと出会い、その後、彼らのボトルを直輸入するようになりました。それが1977年に設立されたセスタンテの始まりのようです。実際に初めてセスタンテのボトリングをしたのは1985年で、その後主に80年代から90年代にかけて様々なリリースがなされました。2000年になり、現在はシルバーシールという新会社でリリースを行っています。セスタンテの時代はG&Mからの供給が多かったようですが、シルバーシールはダグラスレインからのボトリングが多いという記載もあり、実際のところは私はよく知りません。

ミルトンダフといえばバランタインの原酒として有名。私はあまりオールドの経験がない人ではありますが、70-80年代流通のスクエアボトルなどは麦感がしっかりした上に熟成由来と思われるフルーティなニュアンスもあり、バランスの取れたおいしいボトルがあるという認識です。最近は少しライトになる印象ですが、90年代以降でもG&Mなどからリリースされる良質な樽で熟成されたミルトンダフは、良いものも多いのではと個人的には思っています。

考察

さて、このボトルは某氏からサンプル交換でいただいたボトルでした。この場を借りて御礼申し上げます。60年代のミルトンダフはそこまで経験が多いわけではないのですが、前述のスクウェアボトルやG&Mの1969ビンテージのSAKE SHOP SATOさん向け、JIS向けなどはいただいたことがあります。

このボトルは、最初往年のG&Mっぽいシェリー樽のニュアンスにベリーやレーズン、うっすらと白桃のニュアンスを感じ、良いシェリー樽熟成だなと思わされます。その後高貴なマボガニーやチョコレート、ナッツといった油分を含むようなニュアンス、そこからクッキークリームやバニラ、麦の香りが多層的に出てくるのが印象的です。こういうボトルってシェリーに圧殺されてしまうものも多いのですが、これは多層的で原酒本来の味わいもしっかりと主張してきます。

飲んでみるとベリーなどのフルーツの後に麦芽のしっかりとした香味、スパイスや漢方のようなニュアンスも交じりながらも非常に複雑でしっかりとした香味が交代性に表れており、思わず興奮してしまいました。陶酔感やバランス、時間経過どれをとっても素晴らしく、言葉にはし難いのですが素晴らしい味わいのウイスキーでした。

状態も良いのですが、時間は長く置いてしまうとやはり徐々に崩れていく感じはあるため、とても良い飲み頃の状態をいただけたように思います。改めて貴重な機会をいただけたな、と感謝しました。

余談ですが、こういうマボガニー、高級家具のニュアンスを伴う現行品は稀にあります。ただリリース当初は木酢っぽい酸味を伴うことがままあったり、スパイシーに触れることも多い印象です。一方で時間が経ったボトルはスパイシーに触れることはあっても、酸味が主張してくるボトルはほぼないように思います。あまり化学的なところは調べていないのですが、酸味を伴っているボトルは時間経過でだいぶ雰囲気が変わってくるのではないかと考えています。このボトルもリリース直後はどうだったのだろうと考えさせられるところがあります。

評価

S++

テイスティングコメント

香りはトップにシェリーやレーズンの甘味、その後ブラックベリー、海外産のストロベリー、白桃の果肉、マボガニーの家具、板チョコ、クルミやアーモンド、少し時間を置いておくとハーゲンダッツのクッキークリームとバニラ、クローブとローリエ、シナモン、甘草、アニス、シナモン。複雑な香りが時間経過と共に代わる代わる主張する。

飲むと舌にまとわりつくベリー感とシェリー感、その後舌の中で次のような香味が口蓋内に爆発していく。最初はワイニーで高貴なシェリーと甘味、その後イチゴとレーズンなどの味わいを感じ、その後しっかりと麦芽感がしっかりと出てくる。その後ミルクチョコレート、クローブとシナモン、マボガニー、フィニッシュはタンニンとマボガニー、漢方薬、烏龍茶など。非常に複雑な変化で素晴らしい味わいが何度も現れる。時間が経ちすぎると徐々に香味は崩れていき、スパイシーな味わいが中心的になる。

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