今年1年を振り返って 〜今年飲んだベストボトルを決める〜

雑記
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今年もコロナ禍で、私は1年間地域から外にでることもなく1年が終わろうとしています。酒に向き合う時間がなくなるくらい、仕事や家庭のことが充実していたといえばしていたのですが、ライフワークとしてのウイスキー活動は低調で、大きな活動ができない1年でもありました。

昨年に続き、こんなに飲めていない状況で今年のボトルは○○が良かった、とも言いにくいのですが、幸い地元のバーはコロナ禍においてもウイスキーに向き合ってくれる環境を作ってくれたり、時短の中でも新たなものを提供しつづけてくれました。苦渋の選択をせざるを得ないお店もあったかと思います。そんな中でもウイスキーに向き合わせてくれる環境を維持していただいた方々に感謝しつつ、こんな中でもこれだけウイスキーを飲ませていただいたこと、そしてブロガーの端くれとしてレビューをやっている以上、更新が滞っていたとしても感謝の意を示すために年に1回は書き留めておこうと思い、PCを開きこの文章を書いています。

Twitterには#2021マイベストボトル#月別ベストボトル2021懺悔大会というハッシュタグがありましたが、それを丸パクリしてBest bottles in the Month, Best bottle in the Yearとして、各月に特に良かった、印象に残ったボトルを紹介しようと思います。選定基準については以下の通りに定め、思い返しながらBest of the Monthを決めていきます。当たり前のことですが、大して飲めなかった年の、あくまで個人的な感想ですので、当然業界を反映したものでは全くありません。気張らずにふーんと読んでいただければと思います。

サムネ画像は金沢のBar Mother’sの”夜のシウマイ”を家の電子レンジで温めている写真です。今年の7月からオンライン販売をはじめました。私のホームバーであり、ここでモルトを教えてもらった身として、コロナ禍であってもこのような形で盛り上がったことを大変嬉しく思っています。

https://mothersbar.theshop.jp/

https://bar-mothers.com/

上のリンクからシウマイは買えますが、いつの間にか下野さんのコメントがあって驚きました(笑)。下野さんは8個以上と書いていますが、10個以上食べていることもよくある印象です。シウマイの仕込み話なども今後このブログでお話ししたいところですが、ウイスキーの話に戻ろうと思います。

選定基準

国内市場、海外市場のニューリリースのうち、特に際立ったものや印象深かったものを月ごとに紹介する。

対象となるボトルは私が飲んだボトルの内、以下のニューリリースの基準に当てはまるものとする。

ニューリリースの基準

  • 国内市場のボトル:飲んだときから1ヶ月以内のリリースを対象とする。
    • 例えば2月の選定ボトルは2月にリリースされたボトル+1月下旬にリリースされたボトルが対象となる。
  • 海外市場のボトル:飲んだときから概ね数ヶ月〜半年以内のリリースであれば対象とする。
  • 海外、国内両方流通している場合は、上記基準をどちらか満たせばニューリリースとみなす。
  • 初めて私が飲んだタイミングを対象月とする。
  • ウイスキー以外の蒸留酒は対象外とする。
  • 現行スタンダードなど限定品以外のボトルは今回対象外。

各月ごとに飲んだボトルと感想

まずはスマホに入っていた酒の写真を全部アップロードします。店飲み及びノミネート候補の宅飲み写真です。

1・2月

フォルダ整理がうまく言っておらず、1・2月はまとめてあります。

1月はあまり飲めていませんでした。例年年末にリリースが続き、1月はすこしおとなしい印象です。

今思い出しながらこの時期の印象をまとめます。

  • 秩父ウイスキー祭、オンラインで開催
  • タムデューのシングルカスクがついに日本向けでも出る
  • ロイヤルロッホナガーの175周年が話題(2020年から)
  • ブラック・ジョージのコカ・コーラ割りが世界最強クラスに美味い酒なんじゃないかと一部で話題に
  • 90あたり蒸留の長熟インペリアルが続けてリリース
  • ヒデゥン・スピリッツの日本向けが発売

3月

3月は私の住んでいる地域ではコロナ患者も少なくなって街に出やすい時期でした。しかしまだ街は閑散としており、やりきれなさが垣間見える時期でもありました。

私のブログでは、解説本に載っていないウイスキー講座という記事を連載で書かせていただきました。

ウイスキー界隈では2月下旬からジャパニーズ・ウイスキーの定義が出てきた時期でしょうか。クラフト蒸留所についての一考について、私なりに調べた上で解説した記事を作成しました。実は書くのがとても大変だった割に全然読まれていない記事ですので、よければ読んでほしいと密かに思っています。

4月

アイラフェス向けボトルや突如出てきた長熟トマーティン、三郎丸と長濱のコラボ、などが目立った時期でしょうか。個人的にはアートワークの02アイリッシュがとても意外で特筆すべきボトルだったと感じます。業界的にはT&Tのボトラーズ事業、クラファンの開始などがありました。

5月

4月からちらほら飲んでいる方はいらっしゃいましたが、なんと言っても今年のスプリングバンクローカルバーレイが素晴らしかった。驚きました。

この時期は確かエクスチェンジからキルホーマンが出ていて、買いだめをした記憶があります。開けた当初は首を傾げてしまうようなちぐはぐ感があり、放置していました。半年放置しつづけ、今となってはなかなか良いキルホーマンになっていました。

キルホーマンもシャムロック前川さんのSTRカスクがリリースされたりなど、日本向けのリリースは今年は多かったのではないでしょうか。飲めていないボトルもいくつかあるんですが、こちらも何かと話題に事欠かない蒸留所ですね。

6月

ジャパニーズ・ウイスキーの定義付けから、秩父駒ケ岳の原酒交換もありました。ジャパニーズの3年熟成が徐々に出始めた時期でもあり、ジャパニーズ・ウイスキーの蒸留所も大手−クラフトという2分類ではなく、第○世代のように徐々に細かくクラスタリングされていくようにも見えました。

あまり外で飲めていない時期でもあり、経験できたボトルは少ないです。

ブログでは樽詰め度数の考察を書かせていただきました。じわじわと読まれている記事ではあるのですが、最近三郎丸Ⅰの応募クイズの際に、結構なブログアクセスがありました。私は三郎丸蒸留所のクイズはいつもまともに解けた試しがなく、買えた試しもないのですが、樽詰め度数については参考にしていただいたようです。

7月

思い返すとアイリッシュが続けざまに何本かリリースされました。どれもとても高額で買えませんでしたが、特に&Girlsのアイリッシュはとても好みのものでした。

8月

ハリーズ高岡の飲み放題に参加して大量に飲みました。地元のモルト飲みと飲ませていただいたのですが、美味しいボトルを飲んだらみんな黙るし、逆のボトルは会話が弾んでしまうのはいつどこでも同じだなあと感じました。

ウイスキー界隈では伊志嶺さんらがドラムラッドを立ち上げられました。身近に飲める場が少なくあまり飲めていないのですが、1stリリースは良かったですし、他のボトルも良い評判を聞きます。他のボトルも飲むのは今後の課題ですね。

9月

マンボウが本格化してまともに外で飲めない時期が続いていました。仕事やプライベートでもバタバタし、あまり飲めなかった時期でもあります。KFWSのベンネヴィス、フープのクライヌリッシュ、T&Tのボウモアなど、デカいリリースが多かったです。

BBoMには上げていませんが、ラダーのウィリアムソンは短熟ながら結構好きなボトルでした。

10月

大きな仕事が終わり大量に飲んだ時期もありました。

10月は本当リリースが多く、買いきれず飲みきれず、といったところでした。

個人的にとても好みだったのは、モルトヤマのミルトンダフ。ストレートでもなかなか良いのですが、ハイボールでは更にパワーアップした味わいとなります。素晴らしいボトルでした。

11月

11月は外のみできた日が1日と、まあ外に出られない日々でした。それでもリリースはたくさんあり、追いきれないほどでしたが好きなリリースもいくつかありました。

BBoMには上げていませんが、メゾン向けのアードモア2000もなかなか良かったですし、ハリーズ金沢のオスロスクはスペックの想像を超える美味しさで、とても良いボトルでした。

12月

忘年会シーズンということもあり、いくつか飲ませていただきました。

BBoMに上げていないところでいうと、Rudderのシークレットスペイサイドは日常飲みしたいボトルでしたし、KFWSのレダイグも程よいフルーティーさが良いボトルでした。

ニューリリース対象外ですが、SHINANOYAの96クライヌリッシュもかなり好きなボトルでした。またT&Tのグレンカダムも良いリリースでした。

モルトヤマのフェッターケアンもかなり好きなボトルでしたし、グレンタレットもよくあるフルーツ全振り系ではなく好みの系統でした。変化球ではブティックウイスキーのペンダーリンも驚くようなフルーツがありました。このあたりはTwitterにも上げましたので参照ください。

良いリリースが多い月でしたが、インペリアルには度肝を抜かされました。

Best bottles in the Month

国内市場、海外市場のニューリリースのうち、個人的に月ごとに特に際立ったものや印象深かったものを選出しました。 なるべく月1本での選出を心がけましたが、 思い入れが深くなってしまったものや拮抗している月は複数本あげています。思い出しながらですのでちゃんとした評価ではないのですが、暫定的にこのブログで記事を出した場合の評価も併記しておきました。

繰り返しになりますが、ここに載せていないから評価が低い、美味しくないと言っているわけではありません。選出はかなり好みを反映させていますので、うなずく方も首を傾げる方もいらっしゃると思いますが、そのあたりも楽しんでいただければと思います。 in the Yearは悩みましたが1本のみの選出としました。

1月

  • Imperial 1990 30 years old, EIDORON classic, RUDDER (A++)

1月からはラダーのインペリアルを選出しました。インペリアルはその原酒の性質から、一昔前はあまり長熟じゃないほうが、、、と感じていた時期もありましたが、今年は長熟レンジのインペリアルがいくつかあり、きれいな樽の乗り方を楽しめるリリースがいくつかあったように思います。候補はいくつかありましたが、RUDDERさんのインペリアルが特に良かったので1月のBBoMとさせていただきました。

2月

  • Royal Rochnagar 17 years old 175th anniversary 56.3% (A++)

昨年末ころからちらほらと噂されていた、ロッホナガーの175周年記念ボトル。ピークはまだ先なような気もしますが、かなり良いボトルでした。飲んだ時期の問題で2月のBBoMとさせていただきました。

3月

  • Bowmore 2002-2020, Kyoto Fine Wine and Spirits (Wu Dram Clan) (A++)
  • Auchroisk 1996 24 years old, 25TH ANNIVERSARY, ACORN CASK STRENGTH SELECTION (A++)
  • GlenBurgie 1999, Hanter Laing Old Malt Cask for JIS (A+ ~ A++)

3月は3本選出させていただきました。一つはKyoto向け(Wu Dram Clan)のボウモア。2000年代に差し掛かりやや原酒の質が変わってきた同蒸留所ですが、昨年のRudder向け2000や本ボトルの2002など、2000年代前半はジューシーさがしっかりとあって嫌な要素が少ないボトルも出回ったと記憶しています。

2002のこのボウモアは、爆発的なトロピカルというボトルではないですが、とてもバランスが良く、更に時間経過で良くなっていきそうな要素も伴っているように感じました。ピート感が若干フレッシュなのは2000年代の特徴なのかボトリングされて間もないからなのかはわかりませんが、良いボトルでした。

エイコーンも25周年。このボトルはブログにも上げたので詳細は省きますが、王道のどんぐりラベルの味わいがあり、好みのボトルでした。

ここ数年、1998ビンテージのグレンバーギーが一部で話題になっていたかと思います。個人的には2年前にでた京都のアンティシェンエさん向けのグレンバーギー1998がとても好みなのですが、今回の1999グレンバーギーもその系統でした。99のこのボトルの方が麦感がしっかりとしていて、今後飲みすすめていくとまた味わいの変化を見れるような気がします。今となっては価格がそこまで高くないのも良いポイントでした。

4月

  • kilchoman, Feis ile 2021 (A++)
  • irish single malt 2002 17 years old, The Whisky Agency and Three Rivers, artwork series (A+)
  • Auldney (kininvie) 1997, THE WHISKY FIND (A++)

4月はアイラフェスで飲めたのがキルホーマンくらいなのですが、なかなか仕上がりの良いボトルでした。こちらもブログ記事がありますのでお読みいただければと思います。

個人的におっ、と一目を置くボトルがさらに2本ありました。一つは2002年のアイリッシュ。90年代後半以降のアイリッシュは1988~1991くらいのアイリッシュとは異なり、トロピカルを求めると裏切られるのという印象がどうしても拭えませんでしたが、2002のこのボトルにはパッションフルーツのヒントがあり、00年代アイリッシュの希望をみせてくれたボトルと感じました。今後00年代のアイリッシュも注視していこうと思います。