アベラワー 1988-2017 29年 アーカイヴス Whisky Fair TAKAO 2017年向け

アベラワー 1988-2017 29年 アーカイヴス Whisky Fair TAKAO 2017年向け スペイサイド
Aberlour 1988
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ボトルスペック

生産地域:スペイサイド
蒸留所名:アベラワー
オフィシャル/ボトラー名:アーカイヴス・アレントレーディング
樽の種類:ホグスヘッド
カスクナンバー:5548
蒸留年:1988
熟成年数:29年
ボトリング年:2017

解説

このボトルはオランダのボトラーズ、アーカイヴスからのリリース。WHISKY FAIR TAKAO 2017向けにボトリングされました。少しややこしいので順番に解説していきます。

ARCHIVES

アーカイヴスは世界最大のウイスキーのデータベースにしてコミュニティプラットフォームであるWhiskybase.comが、2011年より開始したボトラーズです。ここ10年近くで100本以上のリリースがあり、評価の高いボトルも多くあります。魚や鳥などの絵が描かれているのが特徴的なデザインですが、ワールドワイドに販売されているものは「フィッシュ・オブ・サモア」シリーズと呼ばれ、魚類が描かれています。他にも鳥類が描かれたアメリカ向け、アジア圏内の鳥類が描かれたアジア向け、爬虫類が描かれた日本向けがあります。地域向けのリリースはパートナー企業が決まっており、日本向けは信濃屋のプライベートボトルとしてリリースされますし、アジア向けは後述するARen Tradingが台湾、香港、中国に向けた代理店となり販売されます。

アーカイヴスは日本の代理店はエイコーンであり、フィッシュ・オブ・サモアはエイコーンより、信濃屋のプライベートボトルも代理店はエイコーンを介してリリースされています。また今回のアベラワーのように、アジア向けのリリースは時々日本にも入荷されることがあります。

ARen Trading(人上人實業)

台湾、高雄のウイスキー愛好家であるMichael Hsieh氏。2013年にARen Traingを設立し、The Whisky Agencyの台湾の代理店として活動を開始しました。現在日本のボトラーであるAcornや前述したARCHIVES、スイスのシングルモルトセンティス、エクスチェンジのボトラーであるThe Single Malt of Scotland(Elixir Distilleries)の台湾の代理店になっています。ステファンの著書であるWhisky Risingの翻訳もしており、その影響か日本のクラフトディスティラリーにも精通しています。そのためか嘉ノ助蒸留所や厚岸蒸留所のニューボーンを台湾に輸入もしているようですね。中国語では人上人實業と表記するようで、そういえばそんなKAVALANがあったなと思いだしました。

THE WHISKY AGENCY & 人上人向けのKAVALAN。ARen Tradingのことだったようです。

Whisky Fair TAKAO

そのMicheal Hsieh氏が実行委員長となったのがWhisky Fair TAKAO。WHISKY FAIRはもともとドイツのリンブルグで開かれ、その実行委員長であるカーステン氏がThe whisky Agencyを設立したという経緯があります。両氏の関係の深さか、2017年には高雄で開催されています。2018年にも開催され、更に今年の11月にも開催予定のようです(この環境下ではどうなるんでしょうか…)。同氏のコネクションを考えれば、ARCHIVESの素晴らしいカスクが記念にボトリングされるのも必然なのかもしれません

Aberlour

このような状況でリリースされた1988年ビンテージのアベラワー。もともと1825年にジェームス・ゴードンとピーター・ウィアーにより創業されましたが、一度蒸留所が焼失し1879年にジェームズ・フレミングにより再建されます。グレンマレイを所有していたロバート・ソーン &  サンズ社に買収され、そこから何度かの買収を経て、現在はペルノ・リカール社が所有しており、同社のシェリーカスクを代表するブランドです。オフィシャルではまずシェリーカスクしかお目にかかれませんが、1988年ビンテージは今回のボトルのようにプレーンカスクのボトルを散見します。ダンカンテイラーやダグラスレインからのリリースが何回かありました。

考察

このボトルは以前までリリースされていた88ビンテージのアベラワーと同様、プレーンカスクのリリース。このビンテージはグラッシーなボトルも時々散見されますが、これはそうではありませんでした。開けてしばらくはスパイシーでちぐはぐな感じやウッディさもありましたが、クリーミーな香味にオレンジオイルやパイナップル、キウイフルーツなどの酸味を伴うフルーツ感があり、かなり減った今では一体感がありバランスの良いボトルになりました(何本か購入したボトルなので、美味しくなるのを知っていると安心します)。

この系統は例えば昨年リリースのスコッチモルト販売さんのアベラワー1993など、他のビンテージでも感じることがあります。シェリーカスクとはまた違う上品な長熟スペイサイドモルトとして、今後もふと時々出るかもしれない、記憶しておいた方が良さそうなボトルでした。

評価

評価:A++

テイスティングコメント

香りは麦とクリーム、オレンジオイル、パイナップル、キウイフルーツ、少し木材と溶剤
飲むと香り通りのジューシーなフルーツ感。オレンジと柿、パイナップル、オレンジ、その後しっかりとした麦感とコク、徐々にホワイトペッパーなどの強いスパイスと少し鉛筆の削りかすのような木材感がじわじわとやってくる。

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