脱・ウイスキー初心者への道① ウイスキーに「ハマる」ということ

脱・ウイスキー初心者への道
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およそ10か月ぶりに真面目なブログ記事になります。解説本に載っていないウイスキー講座として、今回は、脱・ウイスキー初心者への道という記事を作成しました。かなり長い全4-5回にわたって掲載する予定です。

皆さん、ウイスキーを楽しく飲めているでしょうか?

今すでに楽しく飲めていても、今残念ながら楽しく飲めていなくても、ウイスキーは飲めば飲むほどおいしく、奥深く楽しく飲める飲み物だと信じています。だからこそ、少しでも長く、ウイスキーを楽しんでいけるように、これから何回かに分けて「脱・ウイスキー初心者への道」と称したウイスキーの指南記事を書いていきます。ウイスキーを飲み始めた、もっと知りたい、けどどうすれば?という方、この記事で提唱する視点を持ち合わせてウイスキーに向き合うことで、徐々に自分の好きなウイスキーを見つけられるようになったり、ウイスキーを頭の中で分類できるようになってくるでしょう。ここまで来れば中級者といっても差し支えありませんし、何よりウイスキーを飲むのがもっと楽しくなります。

はじめに

記事のスタンス

この記事は価値観を提案する記事ですが、これがすべてとは思っていません。私のウイスキーに対するスタンスは下の通り(でありたい)。

なので、ここで書く意見はごく一部にすぎません。押し付けが過ぎるのも困りものですが、せっかく好きになった嗜好品です。自分で枠組みを決めてしまわないで、一歩踏み出してみるのも良いのではないかと個人的には思います。

ウイスキーにハマり始めた皆さんへ プロローグ

今回、読みやすくするように対話形式を交えて解説していきます。

ウイスキーにハマり始めたAさん、Bさんと、ウイスキーが好きすぎて沼にハマっているCさん。CさんがAさんとBさんをウイスキードリンカーの道へいざなう、というストーリー仕立てです。私も、あなたも、有名なドリンカーも、、、ウイスキードリンカーは皆、かつてAさんやBさんでした。どうか畏れずに読み進めていただければと思います。

Aさん
Aさん

最近ウイスキーにハマってしまってさー。外にはあまり出れないけど、ウイスキーをたくさん買い始めてしまってね。Bさんもウイスキー好きだったよね?

Bさん
Bさん

ウイスキーは好きだよ!でもバーで飲むことが多くて、そんなにボトルを買ったりはしてないかな。Cさんがウイスキー好きだったし、ウイスキー飲みに全国を回ってたりしてたんだっけ。せっかくだし、Cさんに聞いてみようか。

そうしよう!

Cさん、僕たちウイスキーを飲み始めたんですけど、おいしいウイスキーを買いたいなと思っていて。何かおすすめありますか?

Cさん<br>
Cさん

ウイスキーが好きになったんだ!それは嬉しいね。

それでは2人には、ウイスキーをさらに好きになってもらうために、少しウイスキーについて話をしようか。

ここでおすすめを教えていくのもいいのだけど、せっかくだから自分でウイスキーを選べるようになれれば良いなと思ってね。ちょっと長くなるけど、どうかな?

本当ですか!ではお願いします!

本当にいたらおせっかいかもしれないCさんですが、だまされたと思ってこのまま読み進めてもらえればと思います。

ウイスキーを好きになった時

早速だけど、Aさん・Bさんのウイスキーを飲み始めたきっかけって何だったのかな?

この前飲み屋で出てきたラフロイグというボトルを飲んだらすごく美味しかったんです!ストレートで飲んでこんなに甘い味わいがあるんだなと驚きました。

私はクライヌリッシュ14年っていうボトルを飲んで、こんなに甘くて複雑な味わいのお酒があるんだって驚きました。それからいろんなボトルを飲み始めたかな。

そうなんだ!二人ともいいボトルに出会ったんだね。

今はウイスキーをどうやって飲んでるのかな?

初めてウイスキーを飲んだお店が親しみやすいバーだったので、そこで色々なウイスキーを勧められたとおりに飲んでいることが多いです。

自分はボトルを買うことが多いかな?

最近は酒屋で白州を探したり、ネットで人気のアランとかを買って飲んでます!

でも、人気のボトルが多くて中々定価で買えないんです……

なるほど。2人ともウイスキーに順調にハマっているようだね。

ちなみにAくんはバーには行かないの?

自分はバーはほとんど行かないんです。どうせ飲むなら、ボトルで買った方がコスパは良いですし。

なるほど。必ずしもバーに行かなくても良いのだけど、好きになったら早めにウイスキーをたくさん置いてあるバーに行くと良いと思うよ。だいたい大きな飲み屋街があるところならウイスキーに強いバーは1軒はあるからね。

そうなんですか?でも人気のボトル飲むなら家で飲む方が安いしな…

それじゃあ、なんでバーに行った方が良いと思うか、僕なりの考えを説明したいところだけど、その前に前提となる考え方がいくつかあるので、まずはこちらから説明しよう。

バーに良く行くBさんと、あまり行かないAさん。2人のウイスキーに対する接し方は違うようですが、二人とも同じようなハマり具合で、熱意が十分あるようです。

ウイスキーにハマったきっかけのボトル

最近、いろいろな方から、「ウイスキーをどうしてこんなに好きになったのか」というエピソードをよく聞きます。人それぞれのエピソードがあり面白いので、みなさんもウイスキーを飲み始めたときのことを思い出してみてください。さて、そのエピソードを聞いているうちにある一つの共通点があることがわかりました。それは当然といえば当然なのですが、たいていの方はきっかけとなった「ハマったボトル」があるということです。

ウイスキーに始めてハマったとき、どう思ったかな?

僕はラフロイグを飲んで、とにかく煙たいけど甘味があってなんだこれ!と思いました。

ピートだけじゃない甘味があって、ウイスキーにこんな世界があったんだと驚きました。

私はクライヌリッシュを飲んだんですが、りんごのような甘味とか口当たりの柔らかい感じがおもしろいなと思いました。

もしかしてBさんは他にもお酒とか飲食の趣味ってあるのかな?

そうなんです。元々ワインが好きでいろんな種類を飲んでいたんですが、たまたま入ったバーでウイスキーを飲んで好きになりました。

なるほど。Bさんはお酒を飲むようになって長いんだね。

Aさんより具体的に香味を拾えているようで、どうしてかな?と思ってね。

ハマったボトルと出会ったとき、そのボトルをどう感じるか?感じ方は私の聞いた限りでは大きく2つに分けられます。

  1. 「おいしい」「好き」という、漠然としたイメージでそのボトルをとらえる
  2. 「こういう香味が良い」と、具体的な香りや味わいについて良いととらえる

この差はどこから起こるのでしょうか。これはウイスキーの味わいの良さが徐々に獲得されることによるのだと考えます。Acquired Tasteと呼ばれるのですが、概して嗜好品の良さ、好みはどんどん変化しますし、はじめはその味わいの複雑さや洗練さに気づかない場合も多いでしょう。そして、上記で2と答える人の多くは、日本酒やワイン、コーヒーなどほかのAcquired Tasteの分野でテイスティングに精通していた人がウイスキーにはまった際に感じることが多いようです。

香味の取り方は最初から個人差があるし、経験を積めば感じ方も変わってくる。

だからウイスキーにハマった人は、ぜひ経験を積んでいってほしいなと思ってるよ。

香味の変化は初心者の皆さんが思っている以上に経験する話で、飲む酒が変われば嗜好も感じ方も変わります。好きなものが苦手になったり、苦手なものが好きになることはウイスキーを知れば知るほど経験することです。なので、自身の感じ方や嗜好のブレが少なくなるまでは、できるだけいろんなボトルを試すようになってほしいと思います。飲み始めのときに同じ味わいだけ追い続けると、嗜好のブレを得る機会があまりなくなってしまいます。好みのウイスキーの幅が狭くなるほど、好きなウイスキーを得にくくなり、ウイスキーが面白くなくなっていってしまうおそれがあります。

このセクションのまとめ

ウイスキー好きは、だいたいウイスキーにハマり始めたきっかけとなるボトルがある。

ウイスキーの感じ方は最初から個人差があり、好き嫌いや感じ方は変化していくもの。これは経験などで好みや拾える味わいが変化するため。

ウイスキーにハマり始めたとき

ハマり始めた時の購入動機

様々な購入動機はあっても、このような時期はウイスキー好きなら経験されている方も多いのでは?と思います。このタイミングでウイスキーを購入されるような方は、どのように購入しているのでしょうか。

バーで飲んでおいしい!と思ったボトルを買うことが多いかな。

とりあえず話題になったボトルを買ってます!

近くに相談できるバーテンダーさんや経験を積んだ飲み手がいるのであれば、その方々に聞くことが多いです。実際、それが一番でしょう。

お話を聞いていると、イチローズモルトや山崎・白州などといった入手困難になったジャパニーズを買われる方は多いように思います。あれはSNSなどでも話題になりやすく、いろんな人が知っているというのもあるのでしょう。だいたいSNSでバズったものや、有名なもの、バーで飲んだもので気になったものが購入されやすい傾向があります。バーで試してから買う、のができる時代なら困らないんですが、最近の高騰・熱狂っぷりはバーで試す前に購入しなければいけなくなったのは消費者にはつらいところですね。というわけで、おいしいものを試すのに、誰かの評判を頼らないといけない時期がこの時期だと思います。この購入の仕方はモルトにかなり精通している方もよくやる手法で、これが悪いというわけではないのですが、あくまでボトルを知る一つの手段ととらえるべきでしょう。誰で・どこで評判になっているかはより重視される傾向があるように思います。

自身がウイスキーにハマった後、してきたこと

ウイスキーにハマり始めた人の行動はどうなるでしょうか。これも自分や周りの方の経験を思い返してみると様々なのですが、まずは自分の経験を思い返そうと思います。自分の場合、アードベッグのスーパーノヴァを友達に飲まされてからウイスキーを知った人間なのですが、その後、バーでウイスキーのボトルをいくつか知るようになりました。といっても常連として通っていたメインバーはモルトバーではなく、オフィシャルボトルを何本か飲んだりしていました。その後ウイスキーフェスに行きイチローズモルトや駒ケ岳などのジャパニーズを知りました。その後しばらくして、モルトバーに通い始めてからは多くのウイスキーを飲むようになり、徐々にウイスキーも買い集めるようになりました。今思うとあのころは闇雲に動いていたような気もしています。

ボトルを買い始めるけれど、最初はどこから手を付けていいかわからない。有名どころから試していくことが多い。

次の回からが本番なのですが、ウイスキーにハマり始めたときはどのような状態か?というのを振り返るのは大事なことです。次回はウイスキーの香味の感じ方が、飲み進めていくたびにどのように成長していくのかを説明します。

第2章はこちら。

脱・ウイスキー初心者への道② 香味の解像度
教科書には載っていないウイスキー講座、第2弾の続きです。第1弾はボトラーズウイスキーについての講座で、ある程度ウイスキーを飲み続けた人向けの話でしたが、今回は脱・ウイスキー初心者への道というタイトルで、ウイスキーを飲み始めてあまり年数が経ってなく、ボトルを5本~50本くらい買い始めたくらいのひとが一...

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