アードベッグ 25年 ダッチェス パフィンラベル 50.1%

アードベッグ 25年 ダッチェス パフィンラベル 50.1% アイラ
bsh
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アードベッグ 25年 ダッチェス パフィンラベル 50.1%
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ボトルスペック

生産地域:アイラ
蒸留所名:アードベッグ
オフィシャル/ボトラー名:The duchess
樽の種類:Sherry cask finish
カスクナンバー:
蒸留年:不明
熟成年数:25年
ボトリング年:2020

Ardbeg distillery
bottler: The duchess (best of wine) / Puffin Label
distilled date: Not Specified
bottling date: 2020
25 aged years
50.5%
O/T: unknown

解説

アイラ島南岸にある、アードベッグ蒸溜所。1815年創業で、現在人気沸騰中のアイラモルトでも、特に人気の蒸留所の一つです。しかしながらこのような人気の蒸留所であっても、1980年代は生産休止に追い込まれることが多く、1987年にアライドが買収したものの、1997年にグレンモーレンジが買収するまではほとんど生産していなかったようです。買収後の快進撃は知っている方も多いでしょうし、MHDのHPにも記載があるのでここでは省略いたしますが、こういった事情がありアードベッグの90年代前半のリリースは軒並み高騰しています(トリーバンなどは比較的安価ですが、これは97年以降の蒸留で生産量が多いからと思われます)。

1970年代前半のリリースは、至高のアイラモルトとしてボウモアやラフロイグなどよりも好みとおっしゃる方もおり、今なおモルトマニアからしても人気の蒸留所ですが、一方70年代とモーレンジ買収後の97年以降は味が変わってしまったという話も多く聞かれました。

アードベッグのシングルカスクのリリースは極めて高く、オフィシャルでは00年代アードベッグでも10万ほどでのリリースもありますし、90年代前半では13-15万ほどするリリースも存在します。味わい以上に需要供給のバランスの歪みを大きく受けてしまっている蒸留所とも感じます。

個人的には初めて飲んだスコッチウイスキーがアードベッグのスーパーノヴァで、思い出深い銘柄です。ウイスキー好きの年上の同級生から20代前半の自分は飲まされ、そこからウイスキーにハマるようになったのですが、今思うと無茶な入口でした(笑)

90年代前半のアードベッグは正直高いわりに首をかしげてしまうクオリティーのボトルと思うものも飲んだことが何度かあり、追いかけるよりも他のボトルを買ってしまうことが多かったのですが、それでもアードベッグは今でも魅力を多く感じる蒸留所です。

さてこのボトラーはThe duchessという聞きなれないボトルですが、オランダの酒屋Best of Wineのボトラーのようです。オランダはWhiskyBaseをはじめウイスキーが盛んな国な一つで、日本にも送ってくれる酒屋が多いのでここをはじめ時々利用しています。Best of WineのPBといえばBest of whiskyというシリーズしか知らず、Duchessは知らなかったのですが、2014年ころから不定期に三部作のリリースを行い、数年ぶりにThe duchess名義でのリリースとなったようです。

考察

さて、このボトルについてです。蒸留年は不明ですが、20年蒸留とのことで逆算すると95年以前の原酒なのでしょう。初めて飲んだ時は90年代アードベッグでこんなボトルがあるのかとびっくりしてしまいました。70年代のアードベッグはそんなに経験が多いわけではなく、年に1回か2回飲めるかどうかの経験年数ですが、70年代後半のアードベッグくらいには匹敵するんじゃないかという塩素や金属感があり、オールドスタイルの素晴らしいアードベッグでした。味も一体感がありクリーミーさと塩素感を伴うアイラモルトで、自分が経験したことのある90年代アードベッグの概念をひっくり返させられました。これほど衝撃を受けたニューリリースはそうそうなく、繰り返しになりますがとにかくびっくりしたというのが本音です。是非70年代のアードベッグを多く飲んできたドリンカーにこのボトルを飲んでいただき、感想を教えていただきたいとも思いました。

このボトルはTwitter界隈でも有名になっていたのでお知りになっていた方も多いと思いますが、諸々込みで8万くらいする高額ボトルなので当初あまり動きはありませんでした。たまたまドリシェアのテストサービスでサンプルをいただき、すぐに注文したボトルでした。最近は日本からの注文が増えているとも聞きます。

口開けから一体感のある味わいで複雑さも多く感じるこのアードベッグ。これしたら「陶酔感」という言葉も似合うような気がしますね。とにかく、90年代アードベッグからこんなボトルが出たという意外性と、疑いようのないおいしさの合わせ技で、とても印象に残ったニューリリースでした。

評価

評価:S+

テイスティングコメント

香りは青みがかったプラム、オレンジ、うっすらとなめし革、海藻、塩素を纏う金属感、ホットビスケッツ。
飲むと一体感があり柔らかいプラムとオレンジ、クリーミー、舌にまとわりつくような塩素と金属、ココアパウダー、薫製ベーコン、魚醤のコク、余韻は長く続く塩素と金属、ブラックペッパー。

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