ボトルスペック
生産地域:アイラ
蒸留所名:アードベック
オフィシャル/ボトラー名:オフィシャル
樽の種類:ピノノワールワインカスク
ボトリング年:2020
Ardbeg Blaaack
bottler: Official (limited)
46 %
解説
アイラ島南岸にあるアードベック蒸留所。1980年台のウイスキー不況の煽りを受け、大変な歴史を辿った同蒸留所ですが、1997年にグレンモーレンジ社が買収し、復活の道を辿ることとなります。それまでの簡単な経過は下にまとめていますので、よろしければ参照ください。
1997年に買収したグレンモーレンジ社は新生アードベッグとして蒸留を開始します。2000年には二度とこのような憂き目に合わないようにとアードベッグのコミッティを設立し、2004年から限定リリースを始めました。
1998年蒸留のウイスキーを時系列的にリリースしていく四部作、ベリーヤング(2004年)、スティルヤング(2006年)、オールモストゼア(2007年)、そして2008年のルネッサンス10年。その後もアードベッグは原則年1回のリリースを行います。
ここ10年の限定リリースを簡単にまとめました。2008年はルネッサンスとブラスダ(ノンピート)2009年、2010年はヘビーピートのスーパーノヴァ、2011年はアリゲーター、2012年はアードベッグデイとガリレオ(宇宙空間でのウイスキー熟成がテーマ)、2013年はアードボック、2014年はオーリヴェルデ(ブラジルW杯記念)スーパーノヴァ2014、2015年はパーぺチューム(アードベッグ200周年記念)とスーパーノヴァ2015、2016年はダークコーブとTwenty Something(21年熟成)、2017年はケルピーとアン・オー、Twenty Something(23年)、2018年はグルーブス、Twenty Something(22年)、2019年はドラム(ラムカスク)、トリーバン(19年)、スーパーノヴァ2019。
今年はブラックの他にウィー・ビースティという5年ものや25年がリリースされるようです。前者はブラックと一緒に商品案内が来たようなのでそろそろ入荷されるかと。25年はまだ日本から案内がないようですね。
考察
さて、このボトルは年1回のアードベッグデイ向けのシリーズではありますが、前述したアードベッグのコミッティ20周年記念ボトルでもあります。2014年頃かからだったでしょうか、徐々にボトルは加水仕様になり、ここ数年は46%になってリミテッドリリースも寂しくなったよな、と正直思っていました。昨年のドラムがラムカスクらしい良いリリースでしたので、半信半疑で飲ませていただきました。
飲んだ感じは加水故の穏やかさはありますが、なかなかの好印象。ピノノワールワインカスクの影響か、チェリー感や柔らかいお菓子見たいな甘みが出て来ます。10年などの通常リリースとは違う方向性ですが、ここまで綺麗にフルーツ感が載るのは良いですね。スペシャルリリースでいえばかろうじてアードボックに近いかもしれませんが、こちらの方がシェリーカスクで出てくるようなカカオ豆のようなニュアンスはなく、加水のせいかまとまりがあり、チェリー感がしっかりしています。
加水でのリリースがになってしまうのは、昨今の原酒不足や使える樽が限られたり、マーケティング上たくさんリリースをしなければならなかったり、価格の問題があったり……と、そうせざるを得ない事情があるのでしょう。「昔のボトルは良かった」というのは簡単だし、事実需要供給バランスが歪んでいる現在、ボトルの高騰は事実であり、ウイスキー業界の悩みの種でもあります。ただそういう中でもこのブラックのように工夫して、買えるレベルで楽しめるリリースを心がけているのかなと感じました。今でも美味しいリリースですが、今後さらに良いリリースが出ることを願っています。
評価
評価:A+
テイスティングコメント
香りはグレープフルーツのわた、チェリー、魚介類、カヌレなどの焼き菓子などの甘味、貝殻
飲むとライト~ミディアムの飲み口で、チェリー、リンゴなどのフルーツ感とシーフードのバーベキューや少しの塩素感、ピート。余韻はテーブルコショーなどのスパイスがうっすらと残る。
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