キルホーマン キルホーマンクラブ向け 8thリリース

キルホーマン キルホーマンクラブ向け 2019年リリース アイラ
kilchoman for kilchoman club release 2019
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kilchoman for kilchoman club release 8th
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キルホーマンクラブ向け キルホーマン 2019
カスクスペック。4樽のバッティング。

ボトルスペック

生産地域:アイラ
蒸留所名:キルホーマン
オフィシャル/ボトラー名:
樽の種類:バーボン樽3樽プラスシェリー樽1樽
カスクナンバー:#283/2006, #376/2007, #123/2007, #425/2007
ボトリング年:2019

kilchoman distillery, the kilchoman club eighth edition
bottler: Official
3 bourbon casks and a sharry cask matured
#283/2006, #376/2007, #123/2007, #425/2007
54.3 %
O/T: 1242 bottles

解説

kilchoman distillery

ウイスキーの聖地ともいわれるアイラ島。ピーティーなウイスキーを作るそのアイラ島の西部に、2005年アンソニー・ウィルズによってキルホーマン蒸留所が設立されます。アイラ島で124年以上ぶりに建設された、久しぶりの新設蒸留所でした。農場併設型の蒸留所、いわゆるファームディスティラリーで、これはアイラでもキルホーマンだけ。つい最近までアイラで最も新しい蒸留所と言われていましたが、現在は2018年にアードナホー蒸留所ができたため、アイラ島で最も新しい蒸留所ではなくなりました。しかしfarm to glassのスローガンに代表されるように、自社の農場で作ったモルトでもウイスキーを生産するなど、ウイスキーに対するこだわりの強い蒸留所であります。モルトの外注先はポートエレン精麦所で、こちらは約50ppmとアードベッグ並みのヘビーピートでの発注です。一方自社モルティングでは約20ppmというボウモア程度のミディアムピートで作られており、だいたい30%が自社でのモルティングです。アランのように独立資本のため、基本的にシングルモルトのみをリリースしていますね。
ここ数年人気の蒸留所で、2019年春には同様の施設を有した第二蒸留所を設立しています。

実は日本には世界で唯一ともいわれるキルホーマンアンバサダーがいらっしゃいます。香川県高松市のバーshamrockの前川氏です。日本で一番キルホーマンが出るバーと噂される同バーですが、たぶんこれは誇張ではなく本当にそうで、ものすごいペースでキルホーマンのマキヤーベイが消費されます。モルトの種類も凄ければ、見識も広く、しかも英語が堪能…とお世辞抜きに初めて伺った時に衝撃を受けたバーの一つです。このようなご時世ですが、機会があれば是非行ってほしいバーですね。

https://www.facebook.com/shamrocksince2009

さて、ここ最近のリリースの話に移りましょう。2010年代前半は3-4年の短熟リリースが多かった同蒸留所。ドリンカーの間で騒がれ始めたのはアイラフェスのリリースからでしょうか。2015年や2016年のアイラフェス向けで話題が出始め、2017年のエクスチェンジ向けのリリースで10年熟成が出たときは、かなり話題になった記憶があります。最近のアイラフェスやキルホーマンクラブ向けはどれも良質な樽で熟成され、正統派のアイラモルトとしてとても良いリリースが増えてきました。一方、2011年よりリリースされている100%アイラも、前述したようなミディアムピートとフルーツの融合が良く、8thや9thのリリースは評判となりましたね。

今回はキルホーマンクラブ向けのリリース。キルホーマンクラブとは、ラフロイグにおけるフレンズ・オブ・ラフロイグのような会員向けサイトです。時々このクラブ向けにリリースされるキルホーマンは、アイラフェス向け並みのクオリティーの高さで愛好家内で話題になっています。

考察

このボトルは8thで、口開けから何度か飲んでいましたが、クオリティーの割にあまり話題になっていない印象もあります。2007年蒸留の、12年程度熟成のバーボンバレル3樽とシェリーカスク1樽という構成。確かにバーボンカスクの味わいはしっかりと出ており、そこにミルクチョコやアプリコットなどのおそらくシェリーカスク由来の味わいが混じってきます。

ラガヴーリンっぽい出汁感や、貝殻のようなニュアンスを伴うピート感がアイラモルトらしさを感じさせます。麦感もしっかりとありますが、昔のリリースよりも熟成感がしっかりとあり、樽感とのバランスの良さが際立っているのが印象的です。単純に前述するようないろんな香味がバランスよく出てきており、飲んでても飽きさせません。ここ最近のリリースで、10年少しの熟成でここまでの熟成感や複雑さを伴うリリースは思いつきません。かなりリッチさを伴う味わいは、キルホーマンの中でも特別なリリースと思わされます。敢えて言うならば、アイラフェス2019にリリースされたカリラ22年のようなリッチさに近いかもしれません。ただ味わいはカリラではなく、ラガヴーリンのような出汁感を伴う点、また10年少々のフレッシュな感じがありつつも未熟感がない点でだいぶ異なります。

10数年経過し、仕上がりを見せてきたキルホーマン。これからのリリースをさらに楽しみにさせる、かなりの良リリースでした。

評価

評価:A++

テイスティングコメント

香りは海藻や貝殻などのピート、塩素、アプリコット、プラム、シナモン、ジンジャーシロップ、バニラ、イリコや削りたてのカツオだし、木材の燃えかす。
飲むとピーティーかつしっかりとしたモルティ、プラムとアプリコット、ハニーシロップ、カツオだしや焦がした麦感、ミルクチョコレート、少しオイリー。余韻は長く、チョコレートやアプリコットのニュアンスが長く続く。

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