ピティヴァイク(ピティヴェアック) 1988 29年 アブソリュートチョイス RUDDER

ピティヴァイク(ピティヴェアック) 1988 29年 アブソリュートチョイス RUDDER スペイサイド
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ボトルスペック

生産地域:スペイサイド
蒸留所名:ピティヴァイク(ピティヴェアック)
オフィシャル/ボトラー名:クーパーズチョイス・RUDDER
蒸留年:1988
熟成年数:29年
ボトリング年:2017

PITTYVAICH distillery
“The ABSOLUTE CHOICE”
bottler: The Coopers Choice / RUDDER
1988-2017
29 years
48.6 %

解説

スペイサイドのダフタウン地区に存在したピティヴェアック蒸留所。かつてモートラック、グレンフィディック、バルヴェニー、コンバルモア、パークモア、ダフタウン、グレンダランの7つの蒸留所がありましたが、パークモアは19世紀に閉鎖、コンバルモアも1985年に閉鎖されました。現在コンバルモアはウィリアムグラント&サンズ社が買収し、同社が所有するグレンフィディックなどの集中熟成庫として使用されています。1990年には同社がキニンヴィ蒸留所を設立しています。

そんなダフタウンに1975年、ダフタウンの第二蒸留所として作成されたピティヴェアック蒸留所。ブレンデッドのベルでおなじみのアーサー・ベル社が当時爆発的に人気となり、その需要にこたえるべく建設されました。アーサー・ベル社はギネスに買収され、その後同じく買収されたDCL社と合併し、現在のディアジオの前身となります。80年代から90年代のウイスキー不況にあおられ、1993年に閉鎖され、2002年に取り壊されました。おおよそ20年弱しか蒸留していない蒸留所。ディアジオのスペシャルリリースでは89年のリリースが時々あり、今まで4回以上リリースされています。少なくとも私の印象では、ディアジオらしい素朴な麦感が印象的なリリースというのがあり、それが蒸留所の印象になっていました。

このボトルはRUDDERさんのプライベートボトル第一弾。RUDDERとは元信濃屋のスピリッツバイヤーの北梶さんが代表の会社で、独立され現在に至ります。同社は北梶さんがセレクトしたプライベートボトルの販売やビンテージボトルの輸入販売、小売などを行っております。北梶さんのリリースといえば、「北梶フレーバー」と形容されることも多い、上質なフルーティーなフレーバーが特徴的なボトルが多くリリースされ、国内外で高い評価を受けてきました。言わずもがな今後のリリースが楽しみなボトラーの一つです。

考察

2020年3月にリリース情報が流れたときは、「ついにRUDDERさんからリリースが出たか!」という思いと、「ピティヴェアック!?」とまさかのマイナー蒸留所のセレクトに驚かれた人も多かったのではないでしょうか。自分も驚いた一人だったのですが、このタイミングでのこのチョイスでしたので、とても期待していたリリースだった記憶があります。

実際に飲んだのは開けて数日後で少し固さはありましたが、中身は確かに北梶さんらしい、フルーティーさが徐々に湧き上がってくるボトルでした。ディアジオ2019年リリースのピティヴェアック29年に比べても、こちらの方がフルーツ感が強く、開けて暫く経つとさらにフルーツ感が増すように思います。

昨今のボトラーは80年代どころか90年代の原酒すらも確保が難しく、00年代後半の原酒ばかりのリリースとなることは珍しくありません。リリースがあっても価格は高騰し、手軽に飲めるものも少なくなってきました。そういう状況下で工夫された、らしいリリースが出るのは選定者の技量でもありますし、コネクションの強さでもあるのでしょう。

そういえばRUDDERさんのオンラインショップでは、キャンセル分がまだ残っているんですよね。オフィシャルのピティヴェアックが4万円超えする今、正直まだ売れ残っているのが不思議なボトルで、第一弾にふさわしい、ナイスチョイスと思いました。

このボトルは3月下旬に富山県高岡市のハリーズ高岡さんでいただきました。6月3日現在同バーは休業中ですので、ご注意ください。営業再開についてはFacebookなどで発表されるようです。

評価

評価:A++

テイスティングコメント

香りは洋なし、青リンゴ、穏やかな麦のニュアンス、革製品、レモン、ナッツ、オレンジオイル。
飲むとオレンジ、リンゴ、キンカンなどのフルーティーさとピーナッツクリームなどの油分やクリーミーなニュアンスが混じる。ハニーシロップ、樽由来のタンニンと嫌みがない程度の酸味も出てくる。余韻は伸びよくフルーティーで少しスパイシー。

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