オスロスク1996 24年 57.1% エイコーン カスクストレングス・セレクション(どんぐりラベル)25周年記念ボトル

スペイサイド
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光沢が強く、写真が撮りにくいのがこのボトルの難点です……

ボトルスペック

生産地域:スペイサイド
蒸留所名:オスロスク
オフィシャル/ボトラー名:ACORN
樽の種類:ホグスヘッド
カスクナンバー:4274
蒸留年:1996
熟成年数:24年
ボトリング年:2020

AUCHROISK distillery
bottler: Acorn
distilled in August 1996

bottled in October 2020

aged 24 years
57.1%
matured in a hogshead #4274

解説

J&Bのブランドで人気を博したジャスティリーニ&ブルックス社が、原酒不足に対応するために1974年にマルベン地区に設立した蒸留所。当時グレンスペイ、ノッカンドゥ、ストラスミルを所有していた同社でしたが、グレンスペイと水質の似た水源を見つけ、ここに設立しました。この水源はドリーの井戸と呼ばれ、某資格試験ではよく見かけるとかどうたらを聞いたことがあります。

J&Bはジャック・ダニエルなどと並び当時人気のブレンデッドウイスキーの一つで、ジャック・ダニエルとはライバル関係にありましたが、1997年にはJ&Bの親会社のグランド・メトロポリタンとジャック・ダニエルのギネスグループが合併し、ディアジオグループとなったことで、奇しくも2つのブランドは同じグループからリリースされることになります。

1980年代よりシングルトンと呼ばれるブランドでシングルモルトが販売されており、今でこそ高値ですが、一昔前までオークションでもよく流通していた印象です。現在シングルトンブランドは時期とリリース地域で蒸留所が異なりますが、このようなブランド展開もあり、比較的以前よりシングルモルトが知られていた蒸留所です。

エイコーンは埼玉県坂出にある酒類販売業者で、ウイスキーのインポーター、酒屋運営などを行っており、オリジナルボトルを販売するなどボトラーとしての側面もあります。池袋東口にはWhisky Plusという酒屋もあり、直営の酒屋にはエイコーンのオリジナルボトルを含めスコッチメインで様々なブランドが売られています。コロナになる前、時々東京に行く際は伺っていました。特に有名なのは通称「どんぐりラベル」でおなじみのカスクストレングス・セレクションシリーズですが、最近はこのリリースはあまり見られなくなり、最近の飲み手の方々は馴染みが無い方も多いのではないでしょうか。

考察

そんなエイコーンが25周年記念にリリースされた今回のラベル。エイコーンの直営HPや一部の酒屋にて、2021年の3-4月にリリースされました。久しぶりのどんぐりラベルですが、黒背景に光沢のあるラベルと、シンプルながらいつものどんぐりラベルと異なる雰囲気を醸し出しています。

飲んでみると口開けは結構スパイシーでアルコールのアタックが強いのですが、徐々に時間をかけて飲んでいくと麦芽感主体の味わいで、その奥に金柑やオレンジっぽい柑桔感が出てきます。余韻はドライなんですが、オスロスクっぽいですし、どんぐりラベルっぽいといえばそんなような気もします。経年変化で変わってくるのかもしれません。

飲んでいて思ったのは、まず麦芽感主体の中熟の味わいが、現行のリリースではなかなか貴重になってしまったなということ。一昔前まで、僕が飲み始めた前後は1万円台前半でこのシリーズが出ていました。昔はもっと安かったらしいのです。今考えると結構贅沢な話なのですが、昔はこの麦主体の素朴さの良さが正直あまり良くわかりませんでした。でもこのボトルが特別なこともそうなんですが、今となってはとても染み入る、いいリリースと思わされるボトルの一つになります。

そして周年にこのどんぐりラベルを持ってきたこと、そして中身もどんぐりラベルらしい素朴な感じとドライさ、でも芯がしっかりとしているウイスキーをセレクトしてきた同社の粋な計らいも注目すべき点です。そしてなんとかお求めやすい価格で20年以上のボトルをリリースされたこともすごいと思わされる点です。どんぐりラベルってこうだよな、と僕でも思わされたんですから、ドリンカー歴の長い方々もそう思われたんじゃないでしょうか。

原酒確保が困難な現在、そんな中でもブランドに相応しいリリースをされたなと感じました。思ってもなかなか出来ることではなく、以前から計画されていたり、往年の同社の信頼関係故に為せることなのでしょう。そういう意味でも印象に残ったボトルです。改めましてエイコーンさん、25周年おめでとうございます。   

評価

評価:A++

テイスティングコメント

香りはしっかりとした麦感、串団子やすあまの甘味、キンカンやオレンジの柑桔感、ほのかに木材の削りかすがあるが、クリーミーな要素もある。飲むとしっかりとした麦感、ボディのある飲み応えとコク、歯ごたえのあるビスケット、ホワイトペッパー、わずかにパイナップルやオレンジなどのフルーツ、余韻は針葉樹系のウッディさと粉っぽさ。

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