ボトルスペック
生産地域:アイルランド
蒸留所名:非公開
オフィシャル/ボトラー名:ウイスキーエージェンシー&スリーリバーズ(アートワーク)
樽の種類:バレル
カスクナンバー:–
蒸留年:2002
熟成年数:17年
ボトリング年:2020
Irish single malt whiskey
bottler: the Whisky Agency and Three Rivers
2002-2020
aged 17 years
49.6 % cask strength
a barrel matured
O/T: —
解説
ウイスキーエージェンシー
かねてよりドイツは欧州の中でもウイスキー熱の高い国で有名でした。リンブルグ・ウイスキー・フェアの立ち上げにも携わったカーステン・エールリヒ氏が2008年に設立したのがウイスキーエージェンシー。イギリス国外にあるにも関わらず、ボトラーズ界のトップブランドの一つとして名を馳せています。
ウイスキーエージェンシーのボトラーズとしてのその特殊性については、過去にブログ記事でまとめましたので、良ければお読みください。
スリーリバーズ
2013年春に大熊慎也氏と前野一成氏によって設立された、スリーリバーズ。社名の由来はサザエさんに出てくる三河屋さんが由来で、ボトル1本から御用聞きをする、地域に根差した三河屋を倣って名付けたのだそう。インポーターでもありボトラーの側面もある同社は、ウイスキー・エージェンシーをはじめとするインポーター事業、またザ・ライフシリーズやザ・ダンスシリーズなどの様々なオリジナルボトルをリリースされています。その信頼の高さから、アートワークとしてウイスキー・エージェンシーとのコラボボトルを定期的に行っております。
ウイスキーエージェンシーのアートワークシリーズは他社ジョイントされたものに名付けられるようで、例えば台湾ならARen Tradingとのジョイントになります。以前ARTと3Rとエージェンシーでジョイントされたボトルもリリースされていた記憶がありますし、アートワーク自体には細かいブランド分けはされていないようです。しかしエージェンシーから供給を受けてもエージェンシーを名乗れないボトラーズが(国内外問わず)結構あることを考えると、エージェンシーの名前を用いてこのようにリリースできること自体、信頼の証ととらえて良いのかもしれません。
考察
さて、このボトルですが、蒸留所不明ですがアイリッシュのシングルカスクとのことです。アイリッシュと言えばトロピカルフレーバーを期待する方が多いのではないでしょうか。アイリッシュフリークからすれば1988-1991あたりが特にトロピカルで、90年代後半や00年代のアイリッシュに対しては、トロピカルを追い求めて過ごされた方々には正直そこまで期待されていないドリンカーもいるのではないでしょうか。
しかし、このボトルに関しては一味違う印象です。少し奥の方にパッションフルーツやマスカットっぽい香味が見え隠れします。90年代前後のボトルとそん色ないレベルでトロピカル感があるかと言われるとそこまでではないのですが、2000年代蒸留でここまではっきりと出てくるのは珍しいのではないでしょうか。
まだ17年と中熟に差し掛かった00年代のアイリッシュ。一方アイリッシュのトロピカルが話題になったのは、例えばキャンベルタウンロッホ&メインモルトさんのティーリング21年など、20年を超えてから出始めたという印象があります。おそらく今後、2000年代の原酒が20年オーバーの原酒になると、トロピカル感が前面に出てくるものがあるのではないか?そういう仮説を立てたくなるくらいには印象的なボトルでした。
ウイスキーエージェンシーはその販売方法から、同じカスクのものでもすでにボトリングして、他のボトラーに売り渡していることがあります。2002のアイリッシュは、アートワークもそうですが様々なボトラーズからリリースされております。もしかするとほぼ同じような出所(同じ樽の可能性すらあります)のものがありそうです。機会があれば他の同ビンテージも飲み比べてみて、これがこのボトルだけに表れている味わいなのか、それとも同ビンテージで共通する香味なのか非常に気になりました。00年代のアイリッシュ、これからも目が離せませんね。ボディもある程度あり、アイリッシュのライトな感じが苦手な人でも飲みやすいボトルでしょう。
評価
評価:A+
テイスティングコメント
香りは穏やかな麦感にホイップクリーム、マスカット、プラム、程よいウッディネス。
飲むとマスカットのチューインガム、シトラス、奥にパッションフルーツやホイップクリーム、マンゴー、ココアパウダー、余韻はやや粉っぽいが仄かなパッションフルーツのトロピカル感が続く。
コメント