プルトニー 2008-2019 シグナトリー for SHINANOYA, “WHISKY KID” 60.4%

プルトニー 2008 ハイランド
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ボトルスペック

Pulteney distillery
bottler: Signatory Vintage, cask hand picked for Whisky KID from SHINANOYA
2008-2019
aged 10 years
60.4 %
1st fill bourbon barrel, # 800071
O/T: 251 bottles

解説

1926年に北ハイランドの港町ウィックに建てられた蒸留所。1922年に地元ウイック教区が酒の公売をしなくなったことで、1930年に一度休止しますが、1951年に公売の再開を機に製造再開します。1959年にはフロアモルティングを休止、現在1995年にインバーハウスに買収され、現在にいたります。2001年にはインバーハウス社はInternational Beverage Holdings Limited(InterBev)に買収され、香港、シンガポール、アメリカ、ヨーロッパに支店をもつ大きな流通網の一部になっています。オールドプルトニーブランドのシングルモルトは以前からリリースされていて、日本は三陽物産が正規代理店で取り扱いをしており、毎年1本程度日本向けのシングルカスクがボトリングされています。
最近めっきりボトラーズからのリリースが減った印象で、ときどきG&Mから90年代後半のリリースが出るものの、90年代後半からのリリースは限られている印象です。オフィシャルがシングルカスクを含めたリリースが多いので、そういう点からもオフィシャルの印象が大きい蒸留所かなと思います。

このボトルはシグナトリーが信濃屋さん向けにリリースしたボトルで、whisky KIDとはスピリッツバイヤーの秋本さんのことのこと。2019年末に前スピリッツバイヤーの北梶さんが独立され、RUDDERでのリリースを開始しました。信濃屋のスピリッツバイヤーは秋本さんなど新体制でのスタートとなり、北梶さん独立前にセレクトされていたこのボトルが氏としてのファーストリリースになりました。

シグナトリーのボトルはボリニジャパンが正規代理店ですが、このボトルは「モルト or グレーン」というざっくりとした表記に、令和になったこの時代でもこの程度の緩さでOKなんだ…と少しクスっときた表記でした。もちろんシングルカスクですのでモルトのみが使用されています。

考察

お久しぶりの投稿ですみません。仕事が忙しくブログまでなかなかたどり着けませんでした。
さて、1st fillのバーボンバレルのプルトニーのシングルカスクで、1万円を切るボトルというスペックの時点で買いたくなるボトルでしたが、フェスの試飲でいただいたときに、そのクオリティの高さに思わず複数買いするようなボトルでした。短熟ゆえのニューポッティさこそ少しはありますが、気になるレベルではなく、ソルティさと甘みやフルーツ、オイリーな感じが多層的に味わえ、しっかりとした麦感も味わえるなど、まさしくプルトニーらしさが味わえるボトルでした。
「1万円以下で購入できるボトル」をコンセプトとしてセレクトしたボトルと伺いましたが、1万円という価格を抜きにしても短熟プルトニーとして購入したくなるリリース。そしていろんな味わいが多層的に味わえて今でもおいしいんですが、瓶熟によってさらに一体感が出たりトロっとした粘性が出たりなど、いい方向に変わってくれるんじゃないなと強く期待させてくれます。5年10年経った時に、秋本さんと共にこのボトルも一歩上の評価を受けるんじゃないか、そう思わせてくれるボトルでした。

個人的には新体制のスタートはある意味博打的なところがあり、リリースによって将来も含めて判断されてしまうところがあるのが事実だと思います。そういう中で北梶さんとは違う方向性でいいボトルをリリースしたことは印象深く、秋本さんのバイヤーとしての実力の高さと、こういうリリースをシグナトリー側が出してくれる、信濃屋の強さがわかるリリースでした。暗いニュースが多いここ最近ですが、ぜひ日本市場をさらに盛り上げてほしいですね。これからのご活躍を益々楽しみにしています。

評価

評価:A++

テイスティングコメント

香りは肝油ドロップ、ソルティ、ハニーシロップ、アプリコット、スパイス、少しオイリー。
飲むと飲み応えのあり味わい深い。ソルティ、ハニーシロップ、オレンジオイル、少しアルコールのアタックも感じるが程よく、トップノートのキャッチーさから穏やかに感じる麦と樽からくるタンニンが続き、ユーカリなどのオイリーな葉っぱのニュアンスが少しある。余韻はスパイシー。

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