シークレット・ハイランド 1983-2019 WHISKY NERDS

ハイランド
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ボトルスペック

distillery: a secret Highland
bottler: WhiskyNerds /Liquid art
1983-2019
aged 35 years
48.2%
matured in a butt (The label is incorrect)
O/T: 246 bottles

解説

かなり間が空いた投稿になってしまいすみません。3月4月と忙しくしているうちに、世界がこんな状況になってしまいました…。いろいろと支援のことなど案内をしたいところではあるのですが、それは次回に譲ることとして、今回も変わらずボトルのご紹介です。

オランダのウイスキー愛好家団体、Whisky Nerds(ウイスキー・ナーズ)。Nerdとは「オタク」という意味で、ウイスキー愛が高じてボトルをリリースする運びとなったようです。これまで何本かボトルをリリースしてきたのですが、話題になったボトルが多い印象で、フルーティーさで話題になったインチマリン、1996のスプリングバンク、ラガヴーリン21年(とても高額で手が出せませんでした)、カリラ1990、1995 スプリングバンクなど、首都圏のバーで当時飲まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本への正規輸入はありませんが、日本に送ってくれるオランダの酒屋がいくつかありますので、そこから購入される方が多いのではないでしょうか。

このボトルは2019年10月に2本同時リリースされたシークレット・ハイランド1983と1987の2本立ての片割れ。シークレット・ハイランド1983はWhisky Nerdsサイドもわからないとしていますが、彼らの見立てでは「クライヌリッシュかグレンギリー」。サンジバーのシークレット・ハイランドがクライヌリッシュであったり、グレンギリーは当時パフュームが混じっていることが多いことを考えると、ほぼクライヌリッシュでしょう。1983のシークレット・ハイランドはクライヌリッシュが多いらしいですが、カナダ向けの1983はトマーティンだったりと、他のボトルもリリースされていたようです。ウイスキー不況時代の80年代ではこういうボトルも格安で払い出しされていたんでしょうね。

ちなみに今回はDrinker’s LoungeのYakuさんが運営テスト中のDrinker’s Sharingのテスターとしていただきました。過去に飲んだことのあるボトルでしたが、印象的でしたので再び飲む機会をいただいた次第です。

※ラベル表記はホグスヘッドですが、WhiskybaseやFacebookで訂正されているように、これはバットのようです。

https://www.whiskybase.com/whiskies/whisky/141947/secret-highland-1983-wn

考察

初めてこのボトルを飲んだ時は、「80年代にこんなきれいに樽感が乗るボトルがあるんだなあ」と感心しましたが、改めて飲んでみるととてもワクシーで、ドライアプリコットなどのフルーツや穀物感、アニスなどの香りの奥に、ちょっと焦げたような枯れたようなニュアンスを感じます。たまたま家にあった1983蒸留のクライヌリッシュも、少し枯れ感、植物っぽい共通項を感じ、このビンテージに共通する味わいなのかもしれないと勘ぐってしまいますね。ワクシーなウイスキーが好きな自分としては堪らないボトルです。

80年代はウイスキー業界にとって不遇な時代と言われています。当時ウイスキーを飲んでいなかった自分には全くわからないのですが、ディアジオがポートエレンやブローラをはじめとした多くの蒸留所を閉鎖したという事実からも容易に裏付けできる事項でしょう。そうなると80年代のリリースは必然的に少なくなりますし、熟成の樽もあまりいいものは使えない。第一印象で良い樽とは思ったものの、もしかすると比較的プレーンなカスクだったからこそ、ここまで長期熟成できたのかもしれません。

最近リリースされている00年台のボトルはクオリティが高く、樽もしっかりと効いていて、味わいもきれいに仕上がっているものが多いだけに、単純に今のリリースと80年代のボトルを直接比較することはなかなか難しいでしょう。ウイスキー市場の波がウイスキーの熟成変化をシンプルに見せてくれなくしています。昔はよかったのか、それとも80年代がたまたま悪かったのか。。。そんな議論は尽きませんが、80年代の良いリリースは貴重な出会いだと思いますし、今のWhisky Nerdsの凄さが垣間見えた気がしました。

評価

評価:A++

テイスティングコメント

香りはオレンジ、ドライアプリコット、マスカット、杏仁、全粒粉のパンのような穀物感と少し焦げたようなニュアンス
飲むとワクシーでフルーティー。柿やレーズン、マスカットキャンディやりんご飴のような果実のエステリーと甘み、少し植物と土っぽさ、ミルクティー。わずかにスターアニスのニュアンス、枯れ感。余韻はやや粉っぽく、フルーティーの伸びも良い。

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