スペイサイド 1992-2016 50.5% ケイデンヘッド

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しっかりとした麦感だけではなく、柔らかいフルーティさを感じる、カスクストレングスながらも華やかな味わいのボトル。

ボトルスペック

容量:700ml
生産地域:北ハイランド
蒸留所名:スペイサイド(蒸留所)
樽の種類:2樽バーボンホグスヘッド
蒸留年:1991
熟成年数:24年
ボトリング年:2016
総本数:630本

Speyside distillery
Cadenhead small batch
1991-2016
aged 24 years
50.5%
2 bourbon hogsheads
O/T: 630 bottles

解説

1990年という比較的新しい蒸留所であるスペイサイド蒸留所。ディアジオなどの大手傘下ではないですが、後述するように独自の流通網を所有しています。
 蒸留所建設は元海軍士官からウイスキーブローカーに転向したGeorge Christie氏が1950年代に土地を買収したことに始まり、1962年には蒸留所建設を命じています。George Christie氏はウイスキーブローカーで、1957年にNorth of Scotland Distilling Companyという会社を設立、CambusにあるRobert Knox社が所収していたForth Breweryを買収し、1958年にStrathmoreという蒸留所を建設します。カフェスチルでモルトウイスキーを蒸留する予定だったようですが、すぐにグレーンウイスキーを製造することに切り替え、1980年まで製造していました。1982年にDCLに蒸留所を買収し、North of Scotland Distilling Companyは解散(解散後もブローカーは続けていたようです)、Strathmoreは一時Cambus蒸留所の倉庫になっていたようですが、1993年に解体されています。
 1986年にはスイスの投資グループであるScowis社に蒸留所を売却します(Scowis社にGeorgeの息子であるRicky Christieがいたようです)。1987年にSpeyside蒸留所が完成しますが、1990年のクリスマスから蒸留をスタートしています。
 1995年にRicky Christieと妻のPriscilla CraigはNorth of Scotland Distilling Companyを再度立ち上げ、2000年にはSpeyside distilleryを買収、 2001年にはSpeyside 10年が販売されるなどシングルモルトの生産に注力するようになります。2013年にはJohn Harvey McDonough氏率いるHarvey’s of Edinburgh Internationalが、台湾の大手食品会社であるVedanと提携し、同社の傘下となりました。John Harvey McDonough氏は台湾在住歴があり、台湾、中国を含むアジア圏をの取引が強く、2014年よりSPEYブランドとしてアジア圏への輸出を拡大しています。日本では2018年にガイアフローが正規輸入代理店として日本への輸入を開始しました。

スペイサイド蒸留所は美しい蒸留所としても名高く、2000-2005年に制作されたBBCのテレビドラマ、Monarch of the Glenに登場するLagganmore蒸留所としても使用されたことがあります。

https://www.bbc.co.uk/scotland/tv/monarch/

考察

さて、そんな新興蒸留所のスペイサイド蒸留所ですが、ここ数年PBがポツポツとリリースされていました。私の知る限りでは2017年に田中屋限定ロットでの1993年、OMC 50%でのリリース、2018年末にダグラスレインのXOPシリーズでリリースされた、北新地の有名バー Bar ParkmoreさんとBar Minmore Houseさんの1999プライベートボトル、2019年末にモルトヤマのPBでThe Whisky Findからリリースされた1995のプライベートボトルなどがあります。また、1995のBBRレトロラベルは2017年あたりに少し話題になったような記憶があります。

speyside minmore parkmore
スペイサイド 1999 19年 for Bar Parkmore & Bar Minmore house by Douglas laing xtra old particular refill hogshead #DL12777 43.6%
Speyside 1995-2019 “孔明” Sherry Butt The Whisky Find selected by MALTOYAMA 57.1%

1993年のスペイサイドは少し古めかしいシェリー感を楽しむボトルでしたが、XOPや孔明ボトルはフルーティ、トロピカルなニュアンスが印象的なリリースでした(2種類とも系統は異なりますが)。そうなってくると気になるのは、「スペイサイド蒸留所は元々フルーティー、トロピカルなウイスキーをリリースしているのか?」ということ。オフィシャルのラインナップではフルーティではありますが、これらのPBとは直結しない味わいなのです。

そういうこともあり久しぶりに伺ったバーでいただいたこのボトル。ケイデンヘッドのバレルということもあり、中長熟域のスペイサイドの経験値が高められるかなと思っていただきました。結論から言うとトロピカルなニュアンスはこのボトルにはありませんでしたが、バーボン樽由来だけでは説明がつきにくい、マスカットやキウイフルーツのようなフルーティさが十分にありました。孔明ボトルのようなトロピカルさはとはちょっとリンクしにくいですが、XOPのフルーティさとは少し共通するニュアンスがあり、もしかすると今後こういうボトルが時たまリリースされてくるのかもしれません。発酵時間を多めに取っているとのことで、このフルーティさはその影響なのかもしれませんね。あまり私自身の経験値が高くないスペイサイド蒸留所ですが、これぐらいの熟成年数がバランス良いように思います。今後も見かけたら飲んでいきたいと思わせてくれるリリースでした。

評価

評価:A+

テイスティングコメント

香りは香ばしい麦芽、マスカット、パウンドケーキ、バニラ、ブラックペッパー。
飲むとキウイ、ホイップクリーム、ペッパー、しっかりとした麦感。モルティな余韻が長く続く。

言いたかったこと

スペイサイド蒸留所、個人的な好みの系統というわけではないのですが気になる味わいで、今後のリリースも注目したくなる味わいでした。 

出典

https://www.whisky-distilleries.info/en/grain/strathmore
http://breweryhistory.com/wiki/index.php?title=Robert_Knox_(Cambus)_Ltd
https://whiskymag.com/story?acting-the-part
https://www.whiskyantique.com/en/speyside
https://scotchwhisky.com/whiskypedia/1891/speyside/
https://www.scotsman.com/business/companies/speyside-toasts-supermarket-deal-1-1377378
https://scotchwhisky.com/whiskypedia/12223/north-of-scotland-distilling-company/
https://scotchwhisky.com/whiskypedia/4833/harvey-s-of-edinburgh-international/
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