ボトルスペック
生産地域：アイランズ
蒸留所名：アラン（ロックランザ）
オフィシャル/ボトラー名：オフィシャル
樽の種類：シェリーホグスヘッド
カスクナンバー：01/761
蒸留年：2001
熟成年数：18年
ボトリング年：2020
Arran (Lochranza) distillery
bottler: Official
2001-2020
aged 18 years
49.5 %
a sherry hogshead matured #01/761
O/T: 258 bottles
解説
キャンベルタウンのあるキンタイア半島東部にあるアラン島。その北部ロックランザに1995年、蒸留所が建設されます。シングルモルトのアランといえば、この蒸留所を指しますが、2019年にアランは島内にラッグス蒸留所という第2蒸留所を建設し、もともとあった蒸留所をアラン蒸留所からロックランザ蒸留所と呼ぶことにしています。しばらくはアランモルト＝ロックランザ蒸留所ですので、アランで通じるでしょうが、将来的にもしかしたらアランモルトというものが別ものになるかもしれません。この歴史については以下の記事でまとめています。
前の記事でもいくらか記載しましたが、2015年くらいは90年代のリリースが主体だったアラン。最近は00年代のリリースが増えてきました。アンダー20年熟成とはいえ、アランの酒質を考えるとこれくらいの熟成年数が一番バランスがとれているのかもしれません。
正直00年代のシェリーアランはそこまで経験がなく、90年代のアランよりももっとタンニンが強い、濃厚なシェリーというイメージでした。これは私の周りにいた飲み手やバーテンダーさんもそうだったのか、あまり00年代のシェリーのアランに手を出している人はおらず（そんなに頻繁にリリースはないですが）、このボトルも購入する人は周りにはいませんでした。このツイートをみるまでは……。
…！？ドリラジさんが言うなら一飲の価値あり
ということで、なんとか頑張っていただいて近くのバーに入れてもらいました。このツイートがされたころには軒並み売り切れていて、インポーターにも在庫がなく、なかなか購入に苦労していました。
バーテンダーの謎パワーが発揮されたようで、ほどなくして地元のバーにも一本入荷されることとなりました。
考察
飲んでみると確かにアップルやベリー、オレンジなどのシェリーやオーク由来と思われるフルーティな要素が結構しっかりとあり、ナッツやミルキーな要素もあります。あまりネガティブな要素な要素がないのが好印象で、酒質の穏やかさと相まってか、フルーツ感が主体となったおいしさがあります。確かに美味しいボトルでした。
思った以上に雑味がなく、少し前のリリースとも共通点があります。昔飲んだ00年代アランの荒々しさは、たまたま安定してないカスクが払い出されたか、単純に短熟だっただけだからかな、とも思わされます。
アランの喜ばしいところは価格でしょう。これが一万円台前半でリリースされているという現実は特筆すべきところです。他の蒸留所ではせいぜい19000円～25000円くらいとされてもおかしくないなと思うのですが、このボトルは税込みでも13000円ほど。この価格で購入できるのはさすがアラン、さすがオフィシャルとしか言いようがありません。伝説の1本というわけではなく、どちらかというと高品質なアランがこの価格でリリースできるのか、というアランに対する印象が強かったのですが、シングルカスクで嫌みのないシェリーが欲しいならコストパフォーマンス最高のボトルになるでしょう。
今後どれだけアランがこのクラスをこの価格でリリースしてくれるのかはわかりません。ファークラスやシグナトリーですら高騰している界隈です。今後も似たような味わいのアランはどこからか出てくるとは思います。ただ、同じような価格でリリースされるのか、同じようなスペックでリリースされるのか、日本向けのリリースがあるのかはわかりません。オフィシャルスタンダードも含め、買うなら今のうちなのかもしれません。
評価は難しいですが、アランは同様の良いボトルが多い印象で、少し厳しめにしてしまいましたが、良いボトルであることには変わりないと思います。
評価
評価：A+～A++
テイスティングコメント
香りはアップル、ブルーベリー、オレンジ、洋梨などのフルーティーでエステリー。オークの乾いた香りやわずかに溶剤感もある。
飲むとさらりとした飲みごたえ。アップル、ラズベリーのジャムなどのフルーツ感ののち、ミルクチョコ、アーモンド、浅煎りのアメリカンコーヒー、シナモン、スパイス、麦のコクとオーク、タンニン。余韻はスパイシーでナッティ。
コメント