インチガワーらしい味わいがしっかり感じられるオフィシャルリリースボトル。
解説
スペイ川の河口近くにある港町バッキー。その郊外に1871年に設立されたインチガワー蒸留所です。1938年にアーサー・ベル&サンズ者が買収、それ以来ベルのキーモルトとなっており、85年にギネス社が同社を買収、87年よりDCL傘下になり現在ディアジオ系となっています。
そういう経緯もあってか、ギネス買収前の70-80年代のインチガワーは結構ボトラーズでも見かけることが多かったですが、最近は殆ど見なくなりました。オフィシャルはほとんど出ることがなく、実質この花と動物シリーズが唯一のオフィシャルスタンダードという立ち位置になるでしょう。昨年のディアジオスペシャルリリースでは、インチガワー1990 27年というスペシャルリリースが、およそ8年位ぶりにリリースされました。現在でも日本で手に入れられる酒屋はあるようです。
MALT WHISKY BOOK 2020によれば、ニューメイクはナッティでワクシー、フルーティな要素になるエステル香が出ないように調整し、モルティなものを目指しているようです。おそらく麦汁の時点で濁ったものを作っているんじゃないかと想像します。
花と動物シリーズは1990年代前半にDCLがUnited Distillers Vintners社になってからリリースされたもの。一度にリリースされたわけでもなく、正式名称もないようなのですが、そのウイスキー評論家のマイケル・ジャクソン氏が “Flora and Fauna series”と名付けたことからこの名前が定着したと言われています。現在もリリースされているわけではなく、並行輸入や市場の売れ残りが今でも買えるボトルではありますが、いずれどれも買えなくなるボトルと思われます。
感想
オフィシャルのリリースもないインチガワー、実質この花と動物シリーズがオフィシャルみたいな立ち位置になります。普段シングルカスクのカスクストレングスを飲むことが多い自分としてはかなり優しくゆるゆるとした感じですが、インチガワーに感じることの多い珍味、特にいかくんのようなニュアンスをこのボトルも感じ、なかなからしい味わいでした。
モルティというよりもその独特の香味が特徴的なインチガワーですが、らしさを知るにはうってつけのボトルかなと思いました。お値段もお手軽ですし。
テイスティング
香りは甘納豆、みたらし醤油、焼いたパン、バニラ
飲むとみたらし醤油、バニラ、しっかりした樽感、焦げ感、少しイカの珍味みたいな味わい
評価
A+
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