ボトルスペック
生産地域:ブレンデッド
オフィシャル/ボトラー名:トンプソンブラザーズ
樽の種類:シェリーカスク
カスクナンバー:
蒸留年:1980
熟成年数:38 年
Blended Whisky
bottler: Thompson Brothers
1980 aged 38 years
44.9%
sherry cask matured
O/T: 490 bottles
解説
北ハイランドにあるドーノッホ。この中心部にある築500年にも及ぶ古城がリフォームされ、ドーノッホキャッスルホテルとして稼働しています。ここにあるのがドーノッホキャッスルホテル・ウイスキーバー。Whiskybase.comでも最優秀ホテルバーとして選出されたり、2016年にはドーノッホウイスキーフェスティバルが開かれるなど、ウイスキー付きにとっては一度来訪したい場所の一つ。そんなドーノッホを経営しているトンプソン兄弟は、バーの経営に飽き足らず、自身でウイスキーを蒸留したいと2016年にクラウドファインディングを実施。無事サクセスし、ドーノッホ蒸留所が設立されることとなります。60年代のウイスキーを目指すべく、フロアモルティング、古代品種の麦芽の使用、発酵時間がかかるタイプのエール酵母を使用し、およそ1週間にもわたる長時間の発酵など、小さい蒸留所だからこそできるこだわりが散見されます。
ドーノッホ蒸留所の設立と同時期からリリースが始まった、ボトラーズとしてのトンプソン・ブラザーズ。特徴的な統一感のあるラベルデザインと、他にあまり見ないリリースがポツポツと出てくるのは、氏のコネクションの深さによるものなのでしょう。今回のボトルに限らず、あまり他のボトラーズではお目にかかれないスペックですし、今回のボトルなどは実際に高い評価もちらほらと聞きます。今後も要注目のボトラーです。
リリースは広島のブラックアイルマンでおなじみのキムラさん。同社は基本的に「一分野につき一社」の代理店をしているようで、インポーターはTHE WHISKY FIND、蒸留所としてドーノッホの代理店を行っています。精力的にイベントをされるキムラさんですし、トンプソン氏も何度か来日されていますので、イベントが再開した際にはお会いできる日も近いでしょう。
考察
さて、このボトルはブレンデッドウイスキーで、インポーターからのコメントでは「1980年のブレンデッドを2007年にシェリーバットに移しました」とあるとおり、いわゆるダブルマチュアード。アウトターンがまあまああるのは、その時になみなみとカスクに詰めたためでしょう。
飲んだ第一印象は、90年代のロセスを落ち着かせたような味わい。しっかりとシェリーのニュアンスはしっかりとあるのですが、そこまでネガティブな感じはありません。原酒がこなれたところにある程度良質なシェリーカスクに移し替えたのが功を奏したのか、バランスの良い味わいになっています。
ブレンデッドといいますがあまりグレーン感は強くありません。ただ溶剤感は若干過熟さを感じるところですが、後熟の妙かシェリー感自体はちょうどよい塩梅です。余韻の短さはモルトばかり飲んでいる人からすればしいて言えば気になるところで、ブレンデッドだからかもしれません。
1980ビンテージのブレンデッドで国内流通していたもので言うと、イタリアのボトラーのウィルソン&モーガンが数年前にリリースしていたように思います。あのときは確か2万円でのリリースでしたが、もう少しグレーン感が強かったような。出どころは同じなのかもしれませんが、似たようなスペックと比較しても良いリリースだと思いました。
(おそらくシーズニングでしょうが)良質なシェリーカスクは結構リリースされているんだなと改めて実感。濃厚で良質なシェリー樽で熟成されたのなら、熟成年数はファーストフィルなら今回のリリースのような10年くらいがちょうどいいんでしょうね。もうほとんどソールドアウトしていそうですが、嫌みないシェリー樽ウイスキーを味わうなら、かなり良いリリースだなと思いました。
評価
評価:A+
テイスティングコメント
香りは穏やかな香りだちで、リンゴのコンポート、チェリー、革製品、コーヒー豆、少し溶剤やウッディなニュアンス。
飲むとオレンジとチェリー、リンゴのコンポート、ラズペリーなどの味わいに少し溶剤っぽさやヒリヒリとしたアルコールの刺激、カイエンペッパー。余韻は火薬の燃えさしや樽のタンニンがしっかりとあり、スパイシー。
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