グレンマレイ 1989-2019 29年 アスタモリス 欧州向け 53.2%

スペイサイド
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ボトルスペック

生産地域:スペイサイド
蒸留所名:グレンマレイ
オフィシャル/ボトラー名:アスタモリス
樽の種類:バーボン樽
カスクナンバー:AM 128
蒸留年:1989
熟成年数:29年
ボトリング年:2019

Glen Moray distillery
bottler: Asta Morris
1989-2019
aged 29 years
53.2%
ex bourbon cask
O/T: 207 bottles

解説

Glen Moray

スペイサイドのエルギン地区はずれにあるグレンマレイ蒸留所。もともとは1828年にウェスト・ブルワリーというブルワリーでしたが、1897年にオーナーのロバート・ソーン&サンズが蒸留所に改築し、グレンマレイとなります。当時ソーン&サンズは近くに所有していたアベラワー蒸留所に注力していたため、グレンマレイは1910年に閉鎖されました。その後、グレンモーレンジのオーナーであるマクドナルド&ミューアが買収し、1923年に生産が再開されます。

第二次世界大戦後の需要拡大に応じるべく、1958年に大規模な改築が行われました。1978年にはポットスチルを2基から4基に倍増し、1992年にはポットスチルを2期入れ替え、現在の梨型のポットスチルとなりました。 1996年、マクドナルド&ミュアがグレンモーレンジ社に社名を変更すると、マレイには注力しなくなりました。2004年にグレンモーレンジ社がルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシーに買収されるとこの傾向はさらに強くなり、2008年には現在のオーナーであるフランスのLa Martiniquaiseに売却されました。同社はグレンターナー(ブレンデッドモルト)やラベル5など、安価なブレンデッドウイスキーのブランドを多く持っていますが、それのキーモルトになっているようですね。同社になってからはピーテッドタイプもリリースされるようになったようです。また買収前の処分なのか、07ビンテージ近辺のボトラーズはよく見かけますし、同じグレンモーレンジ傘下にあった影響か、SMWS(ソサエティ)ではグレンマレイのリリースが大量にあります。

Asta Morris

ベルギーのボトラーであるアスタモリス。設立者のバート・ブルネル氏はもともと食肉加工業を家業にしていたようですが、ウイスキーにハマってから、The Wee Dram Whiskyという愛好家団体を設立、同団体での活動を経て、2009年にAsta Morrisを設立しました。Billy Walkerと仲が良かったようで、初期にはベンリアックをボトリングするなどしていました。フルーティーなボトルが好きな方で、カスクストレングスでリリースすることもあれば、1度ずつ加水して適切な度数を見定めてボトリングするなど、チャレンジングなボトリングも多くあります。最近はジンやRASTA MORRISブランドでのラムのリリースも精力的です。主にヨーロッパ本土でのリリースが多いですが、親日家でガイアフローさんが代理店になりよく来日されたり、日本向けのリリース(東海道五十三次シリーズ)や、秩父のリリースもあります。最近は香港、カナダ、オーストラリアでも購入できるようです。

考察

さて、このボトルは89年蒸留で長熟レンジとなったグレンマレイです。このレンジから90年代前半のグレンマレイは、時々フルーティーで程よい甘みが混じった良リリースがあります。一方で原酒が穏やかなこともあり、樽感が強いパターンも時々見られる印象です。ざっくりと、「当たり外れが多いけど、良いものはいいんだろうな」という印象でした。

このボトルはカステラなどの卵をつかったスポンジ菓子のようなキャッチーな甘みが印象的で、そこまで複雑さはないのですが、ネガティブな要素もほとんどなく、フルーティーでかなり良いリリースでした。このビンテージのマレイの見方が少し変わりましたし、バートさんらしいボトルなのかなとも思いました。

このボトル、とあるところから美味しいよという情報を聞いて購入したボトルです。諸事情なのか日本ではリリースされなくなったようですが、日本にも流通してほしかったな、とちょっと寂しい気持ちにもなったボトルでした。

評価

評価:A++

テイスティングコメント

香りは鈴カステラ、紙パックのマスカットティー、ホイップクリーム、バニラ、シナモン。
飲むと香り通りの甘菓子、カステラやピーチティ、シナモンとオーク、ひりひりする強めのスパイスが後から現れ、マスカットやピーチティーの甘いニュアンスと混ざり合う。余韻は長い。

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