バターのようなコクと油分がしっかりとしたニュアンスと、このあたりのベンネヴィスに感じるフルーツの交わりがよく、個人的な大ヒット。
ボトルスペック
生産地域:ハイランド
蒸留所名:ベンネヴィス
オフィシャル/ボトラー名:モルトマン
樽の種類:シェリーバット
カスクナンバー:#497
蒸留年:1995
熟成年数:19年
ボトリング年:2015年
解説
ベンネヴィス蒸留所はロングジョンでおなじみの’Long John’ McDonaldが1825年に設立した蒸留所です。1980年代のウイスキーの不景気に煽られ、蒸留休止と再開を繰り返していたベン・ネヴィスでしたが、1989年にニッカウイスキーがベン・ネヴィスを買収します。当時バブル期だった日本ですから、ニッカ側は反感を買うことを恐れ、ダミー会社が買収するという形をとったようです。しかしすぐにニッカが買ったとバレたようですが、地元ではむしろ好意を持って迎え入れられたとか。ニッカもベン・ネヴィスも30年後の今の状況は想像できないでしょうが、ニッカの原酒不足の大きな支えになっていることは間違いありません。
モルトマンをリリースしている会社、メドウサイド・ブレンディング社は2011年にドナルド・ハートと彼の息子アンドリュースによって設立されたグラスゴーにあるボトラーズです。 ドナルド・ハートは三兄弟の一番下の弟で、ウイスキー業界に1964年から働いているようです。18歳時には上の兄であるイアンと共に二人で1962年にハート・ブラザーズ社の前身となる「イアン・G・ハート」社を設立しました。その後1976年に「ホワイト&マッカイ」でブレンダーとして働いていた下の兄であるアリステアが入社しました。 1988年にはイアンが引退し、名前を現在のハート・ブラザーズ社とし、同時にシングルモルトを主力商品として扱う現在のスタイルとなったようです。2007年に同社は売却され、ドナルト・ハートはハートブラザーズから独立、アリステア氏はそのままハートブラザーズに残っているようです(資料により時期や社名が異なって記載されていることがあり、一番信頼度が高そうなインポーター資料などから作成しました)。
現在のメドウサイド・ブレンディングのHPを覗くと、ドナルト・ハートのお孫さん2人もチームの一員としてカウントされておりますが、どう見ても未成年です(笑)。家業としてのボトラー業であることが伺えますね。
考察
さて、このボトルですが1995年のベンネヴィスが(今更ながら)美味いのは前の記事でも話題にしたのですが、このボトルはさらに振り切っている感じがしました。この系統の味わいはバランスの良さとかを色々評価すると言うよりも、どれだけ期待する味わいが振り切っているかで評価されることが多いなと思います。これ系のボトルはフルーツが正義なのです(笑)。最近少しずつそれがわかってくるようになったような気がしています。
ミルクやバニラ、バターのようなミルキーなニュアンスとフルーツ感がうまく混ざっており、鼻につく紙っぽさはなく、コクがしっかりして飲みごたえがしっかりありました。うっすら桃のフレーバーもあり、以前リリースされたゼニスさん向けのクライゲラヒ1990を少し思い出しました。自分の好きな系統のボトルですし、この系統が好きな方ならかなり気に入られる人が多いのかなと思うリリースでした。特に好きなボトルで、なかなか見かけないですが見つけたらぜひ買いたいボトルでした。
評価
評価:S
テイスティングコメント
香りはグラスフェッドバター、パイナップル、紅茶、ミルク、オレンジ、バニラ、少し生木のニュアンスがうっすらとある。
飲むとうっすらと桃、オレンジ、バター、練乳、紅茶、こなれた麦、余韻は程よいウッディネスと香ばしいバスク、焦げ感
言いたかったこと
こういうモルトは大好きな系統の一つです。洗練された95ベンネヴィス。
コメント