脱・ウイスキー初心者への道② 香味の解像度

脱ウイスキー初心者への道② アイキャッチ ウイスキー解説記事
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教科書には載っていないウイスキー講座、第2弾の続きです。
第1弾はボトラーズウイスキーについての講座で、ある程度ウイスキーを飲み続けた人向けの話でしたが、今回は脱・ウイスキー初心者への道というタイトルで、ウイスキーを飲み始めてあまり年数が経ってなく、ボトルを5本~50本くらい買い始めたくらいのひとが一番の対象のような気がします。この講座を通じて、ウイスキーをもっと長く楽しめるようになれれば良いなと思っています。

前回の 脱・ウイスキー初心者への道①は下のリンクよりどうぞ。

ボトラーズウイスキー講座は下のリンクよりどうぞ。

今回のテーマは、香味の「解像度」について。短い章ですが抽象的で理解するのにはじめは苦しむかもしれませんが、ある程度飲み進めた人は、表現の違いはあれど納得していただける話題だと思います。大事なことは解像度をどう捉え、どうやってウイスキーを楽しみ続けるかということです。良ければ最後までお楽しみください。

ウイスキーの感じ方は成長する

ある程度の経験を積んだ飲み手は、「いろんなウイスキーを飲んでほしい」という人も多いように思います。このいろんなウイスキーとは、どんなものを飲んでいくのがいいのでしょうか?

AくんもBさんも、ハマりはじめこそいろんなウイスキーを飲んで欲しいな。

うーん、それもそうなのかもしれませんけど、〇〇蒸留所のウイスキーは僕はとても苦手で飲めませんでした。ただただアルコールと苦みが強くて。。。

私はバーのマスターに言われるがままに飲んでいることもあるけれど、そこまで苦手なウイスキーに出会ったことはないかな。この差って何なんでしょう?

あまり考えずに闇雲にウイスキーを飲んでも、正直良くわからないというのが本音でしょう。なんで苦手なのか、なんで美味しいと思えるのかもわからない状態からスタートしたとき、水先案内人のような人がいないとどうして良いかわからなくなります。まずは、このスタートしはじめの状態がどのような状態にあるか、「解像度」という概念を導入して考えてみましょう。

香味の「解像度」

ウイスキーを好きになり始めたときは、好きなウイスキー、苦手なウイスキーの区別がやっとのことが多いでしょう。他の酒などである程度経験を積んだ人は、味わいをとらえるのが本当の初心者よりは得意なことが多いです。このことをりんごの画像で例えてみましょう。

視覚が発達している我々にとって、下の画像は多くの人が「りんご」であると認識できると思います。なお、厳密には嗅覚や味覚の情報処理は不明な点があり、また視覚と情報処理の手法が異なることがわかっています。ここではそういうことには目をつぶり、経験・感覚的な話で論じていきます。

ウイスキーはAcquired Tasteといいましたが、これは私なりに解釈するなら、経験により香味の解像度が上がることを指します。これをこのリンゴの画像で例えてみましょう。飲み始めの時の香味情報を例えるなら、下のような画像です。

もう少しモザイクが荒くてもいいくらいですが、これくらいにしておきましょう。ここから読み取れる情報はどんなものでしょう?「赤くてどうやら丸そうな物体」「なんか茶色いところもある」というところくらいでしょうか。茶色い部位が赤い部位と一体化しているようにも見えますね。

これをもう少し解像度を上げてみてみます。

私たちはこの物質がりんごと知っています。答えを知っていれば何となくりんごであることは納得してくれるかもしれません。でもりんごであることを知らずにりんごと答えるのはやや難しいですよね。左下の茶色い部分が影だということもこの画像だけでは識別しにくいでしょう。

ここまでくればだいぶりんごと理解できますね。左側の茶色の部分も影だろうと認識し始めることができるのではないでしょうか。

香味の「解像度」が低いときのウイスキーへのアプローチ

我々の味覚や嗅覚は視覚ほど解像度は良くないといわれてますので、我々人力でのテイスティングは最後の画像のようなぼやけた感じに近いでしょう。理解していただきたいのは、初心者であるときほど解像度が低いため、その詳細のテイスティングをとっても理解できなかったり、自身でテイスティングをしっかりと取れないことも少なくないのです。こういう段階で無理矢理香味を取って論じようとするケースがありますが、この段階ではインプットしていくのが相応しい段階でしょう。勿論香味を取っていこうという姿勢は大事で、その姿勢は解像度を上げることにつながりますが、輪郭がはっきりととらえられていない段階で好き嫌いまで判断してしまうのは、そのウイスキーの全体像が把握できないうちに判断してしまうということ。これはとても勿体ないと思うのです。

確かに、テイスティングコメントを聞いたらぼんやりとわかるけど、飲んでもはっきりとわからないような…って思っていました。

テイスティングコメントは人によって表現も異なるし、「解像度」も人によってバラバラなので、最初のうちはあまり気にしなくても良いような気がするな。

テイスティングコメントを付けることは決して悪いことではないのですが、最初からこれに固執しすぎてもウイスキーが楽しめないかもしれません。テイスティングコメントを理解できるだけの解像度がないと、ウイスキーを誤って認識してしまうおそれがあります。解像度が低い段階ではウイスキーを楽しめないと言っているのではありません。解像度が低い段階で、解像度が高い人が実践するような飲み方が好ましくないことがある、と言いたいのです。このテイスティングの解像度が上がっていないうちに、好き嫌い・ウイスキーの良し悪しを決めつけないことが大事です。誤解を恐れず言えば、目の前のウイスキーはきっと美味しいのだろう、という気持ちで最初は飲んでも良いでしょう。そのウイスキーが結果的に好みでなくとも、嫌いと決めつけるよりは得るものはきっと大きいはずです。好き嫌い以外の視点を持つことにより、ウイスキーをもっと深く、長く楽しめるようになります。

ではこの解像度をどのように上げていくか?その方法論について次項で提案します。

この章のまとめ

Acquired Tasteとは例えるなら「解像度」。
経験により香味の解像度は上がる。
解像度が低い段階でもウイスキーは楽しめるのが面白いところだが、この段階でウイスキーを評価しすぎないことが楽しむコツ(だと思う)。

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