脱・ウイスキー初心者への道⑧ハマり続けた次にあるもの

脱・ウイスキー初心者への道
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脱・ウイスキー初心者への道も早いものでいよいよ最後です。

ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます。もう少しだけお付き合いください。

前回の記事はこちら。

最初から読みたい方はこちら。

では、本編は以下からどうぞ。

ハマり続けた先にあるもの

さて、ここまでドリンカーがどのようにしてウイスキーを捉えていけばいいかを駆け足で見ていきました。では、Cさんのようなドリンカーは、ドリンカーを続けていく中でどんなことを思うんでしょうか。

Aさん
Aさん

ところで、Cさんは何でここまで親切に教えてくれるんですか?

Cさん
Cさん

それは、自分も以前ウイスキーをバーや飲み手の先輩方に教えてもらったからかな。

そんなことより、とりあえず美味しいボトルを持ってきたので、これ飲まないかな?

これ、ボウモアですか?しかしやけにフルーティーで確かにトロピカル。こんなにボウモアってトロピカルだったんですね!

Bさん
Bさん

これ、1993年蒸留のボウモアなんですね。このボトルだけたまたまトロピカルなんですか?それとも1993年の特徴なんですか?

すごいトロピカルだよね!一般に1993年は90年代ボウモアでは飛びぬけてトロピカルとは言われているね。1990年とか95年にもすごい90年代はあるけれど。同じボトルで共感できてうれしいよ。

ドリンカーは、みんなと経験を共有し、共感を得たい人が多いと思う。自分も二人と同じボトルで感動する経験を共有し、共感したいから、新しい飲み手は大事にしなければならないと思う。ウイスキーは飲めばなくなるけど、この経験を共有したという思い出はずっと残るし、そのためにウイスキーにもっともっと関わりたいと思うようになった。

ボトルはなんだっていいと思います。美味しいボトルも、残念な味わいのボトルでも構いません。経験を共有し、共感することは一番楽しいことだと思います。これがバーテンダーさんと客であっても、持ち寄り会の同士であっても同じ。目の前のウイスキーを美味しいと思って、一緒に楽しむことで、そのウイスキーはもっと魅力的に感じ、もっとウイスキーに思い入れできるようになります。そしてそういう経験をしたからこそ、ドリンカーはドリンカーであり続けるのだと思います。そして、経験できるボトルがたくさんあって、ボトルを通じてバーテンダーさんと対話・共感ができる場がバーであると私は思っています。バーに行くことで、経験を共有する素晴らしさを感じることができるようになるでしょう。私がバーに行くことを勧める理由の一つは、この流れを早期から経験できるからです。その中で香味の解像度がどんどん上がり、修正されるべきところは修正され、いろんな方々との交流が生まれ、、、というようにハイコンテクストなドリンカーになっていくように思います。そういう成長を遂げたドリンカーはよりたくさんのウイスキーで、たくさんの仲間と楽しむことができるようになり、長い時間楽しみ続けることができるようになるでしょう。

おわりに

ウイスキーは魅力的な飲み物です。ウイスキーが好きで、自身の人生をウイスキーに委ね、ウイスキーの仕事をする人もいます。ウイスキーはいろんな立場の人が、いろんな目線で関わっています。蒸留所で働く人、その原酒を買う人、ボトラーズ、インポーター、酒屋、バー、ドリンカー、、、いろんな視点があります。どれが正しく、どれが間違っているというわけではありません。

ドリンカーの一部はウイスキーに携わるディスティラー、ブレンダー、ボトラーズやブローカー、インポーターなど様々な業種の方たちに自身を重ね、様々なジャンルを飲み手の目線を持ちつつ追求していく方もいます。視点が細分化されてそれぞれのプロの視点に近くなっていくと、いよいよ「ウイスキーオタク」と呼ばれるレベルになります。いろんな楽しみ方があるのがウイスキーの世界の楽しみだと思います。

当然ドリンカーだけでもいろんな視点があり、ここで示した方法論はその一つに過ぎません。一部のドリンカーは、私たちがこれからもウイスキーに飽きずウイスキーに魅了され続けるためには、誠意をもってウイスキーに取り組んでいる方々に敬意を表し、ウイスキーに真剣に向き合い、関わっている人々と楽しくウイスキーを飲むことが大事でしょう。最近はそのようなことを考える機会が多くなりました。私もまだまだ若造なんですが、私はドリンカーである以上、ドリンカー目線で記事を作ることで彼らに敬意を表したいと思います。

なんでこの記事を作ろうと思ったの?

ウイスキー界隈はボトル価格の高騰が続いていて、人気ボトルが販売されるとイナゴのように飛びつき、一部のボトルは高騰し、ボトルを所有することが目的となっていっています。そのことを止められはしないですし、悪いことというつもりもありません。経済が回ることは良いことです。でも、ブームで終わらせず文化として定着したいという思いが私にはあります。その思いを実行するのは市場原理に身をゆだねていても実現しない、と私は考えています。

ブームで終わらせないためには、飲み手一人ひとりがいろんな視点でウイスキーを楽しめるようになること、そのためには美味しい・美味しくないの二元論でウイスキーを捉えないことが大事なことの一つと思うのです。そして、その思いを実行するのに、インターネットという存在は広大すぎて誰かに伝える手法としては最適なものではないような気がするのですが、せめてインターネット上に文章に記しておくことで同じような境遇にある人が見るかもしれない、見た人の何人かが物は試しと試してくれるかもしれない、そんな希望を持ちながらこの記事を記しました。

ここで記すのは、自分なりにウイスキーを楽しみ続けるようになる方法論のひとつに過ぎませんし、もっといい方法があるといえばあるような気がします。この一連の記事は、方法論というよりは現実を突きつけるだけのもの、といった方が適切かもしれません。ただ、ウイスキーを知るのにインターネットというのは強力な武器となりますが、ウイスキーを学ぶのには最適な環境ではないと思っています。良く知らずにがむしゃらに飲んでウイスキーを知れるかというと、そこまでウイスキーマニアへの道は甘くないように感じます。私も色んなことを思わされることはよくあり、無力さや難しさを突きつけられたことも多くあります。そんな中でも自身のいる場所が見失わないよう、ウイスキーの世界という大海原を進む読者が、一つの道しるべにこの記事を読んでいただけるのであれば幸いです。

ウイスキー好きの中には、「バーに行って飲むと良いよ」とアドバイスされる方が多いのではないでしょうか。ウイスキーを楽しんで飲めるかどうかという視点でいえば、バーテンダーさんはうまく楽しませてくれる方が多いように思います。モルトバーに通えるのなら、その方が良いと思います。しかし、私の経験上、初心者の方にバーで飲んでみてと伝えてみても、行かない方が結構いらっしゃいます。こんなご時世なので仕方ないといえば仕方ないのですが、住んでいる地域や家庭の事情などによりあまりバーで飲まない人は飲まない人がいらっしゃるのも事実です。

バーに行くか行かないは自由で、バーに行かないから楽しめないといいたいわけではないのですが、バーに行っていればもっとこの人の世界が広がって、もっと楽しめるのにな、と思う方を何人も見てきました。これはウイスキーの仲間を増やしたいと思う私からすれば勿体ないと感じることではあるのですが、こちらの伝え方が不十分で魅力的に思わせることができなかったのだろうと感じることもあります。ならば、もっと説得力のある説明をしなければなりません。そのためには、なぜ自分はいろんな種類のウイスキーを試すのか、なぜバーに通うようになったのかを説明しなければなりませんし、それをある程度抽象化して伝えなければなりません。これは口頭で伝えるのにはあまりにあいまいで複雑なため、書き下ろした方が良いだろうと考えるようになりました。

気付けばトータルで2万字を超える記事になってしまいました。最後までお読みいただいた皆様、拙い文章で恐縮でしたが、ありがとうございました。

謝辞

この記事を作成するにあたって、ドリシェアのオンライン飲み会のメンバーより助言をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

拝借した画像

以下のリンクより画像を使用しました。

https://free-materials.com/%e6%9e%97%e6%aa%8e%e3%83%bb%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%82%b402/

https://www.pakutaso.com/20120434119post-1429.html

https://photo-room.net/398/

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