脱・ウイスキー初心者への道⑦ウイスキーをハイコンテクストにとらえる

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脱・ウイスキー初心者への道もほぼ最終に近づいてきました。

前回は、経験を積んできた人はハイコンテクストにウイスキーをとらえるという話でした。ここでは、そのハイコンテクストに捉えるにはどのようなアプローチをするといいのかを考えていきましょう。

前回の記事はこちら。

最初から読みたい方はこちら。

では、本編は以下からどうぞ。

ハイコンテクストへの道

蒸留所×蒸留年でモルトを捉える

ではどうすればハイコンテクストになれるのか?ここではシンプルでとっておきの方法をお伝えします。

それは、まず蒸留所と年代を固定すること。できれば樽も固定した方が良いでしょう。

蒸留年を固定する

ここではクライヌリッシュを例としましょう。蒸留所をクライヌリッシュ、年代を1995ととりあえず固定しましょう。2000年代だと樽感がしっかりしてくるので、ワクシーのニュアンスが分かりにくくなってしまう恐れがあります。ボトルでなくてもいいので、クライヌリッシュでやるならできればプレーンな95と97を比べるのがいいように思います。1995年のクライヌリッシュを複数のみ比べてみると、いわゆる「ワクシー」といわれる特徴的な香味がわかるようになります。わからないときは前述した「少し似ているボトル同士を比べる」と参考に、同じような樽で似たような熟成年数のボトルと比較するといいでしょう。

ここのブログでは2つだけ記事が上がっていますが、できればシェリーじゃない方がワクシーは分かりやすいかもしれません。

固定した情報を少しずらす

次にやることは、固定した年代を少しずらすことです。ここも熟成年数が似通った方が分かりやすいので、1995なら1996や1997と比較するのが良いでしょう。96や97と飲み比べると、似たようなニュアンスを感じる一方で、1995の方が少し重くてもっさりした感覚、1997の方が少しライトな感じを覚えるボトルの方が多くはないでしょうか々飲み比べるのは今や難しいかもしれませんが、比較した経験がある人は、95と97に共通項と相違項があることがわかると思います。飲んだボトルが樽の影響が強いボトルでないのであれば、共通項がクライヌリッシュのハウススタイルの可能性が高く、相違項は1995年に特徴的な味わいであるということです

ここまで理解するのには、ある程度樽の影響が強いボトルと弱いボトルを飲んでおく必要もあるでしょうから、事前の経験で樽由来か原酒由来かを識別する能力が必要となります。これも同じような蒸留所で、樽の影響が強いボトルと樽の影響がそこまで強くなさそうなボトルを比較し、蒸留所を変えてみることで、樽の影響を捉えることができるようになるでしょう。

一つのパラメーターだけをずらして比較する

香味の解像度を上げるのにもこのアプローチを応用できます。例えばアイラの蒸留所ごとの特徴を知ることで、アイラのピートにも蒸留所ごとに違いがあることが分かってきます。年代を固定するのではなく、蒸留所と熟成年数、熟成樽を固定し、蒸留所を少しずつずらしてみると比較しやすいですね。例えばアイラのピートをより詳しく知りたければ、例えばラフロイグとボウモア、ラガヴーリン、アードベッグ、カリラの同じ程度の熟成年数で飲み比べることで、味わいに差があることがわかってくるでしょう。

文字だけではわかりにくいと思いますので、模式図を用いて一般化してみましょう。

経験を比較しやすくすると、整理しやすくなる

ここにAという一つの円と、Bという円が重なったものがあります。一つの円は目の前のボトルを飲んだ時に感じた香味を模式的に表したものとしましょう。

私たちがウイスキーを飲むとき、同じ蒸留所であっても、同じビンテージであっても、同じ商品であっても、同じボトルであっても感じ方は厳密には異なります。熟成環境で味わいに微妙な差異があるのは当然ですが、同じ商品でもロット差はありますし、同じボトルでも飲み手の感じ方や時間経過によるコンディションにより、味わいにばらつきがあります。

一部の飲み手の方が、「1杯でそのウイスキーを知った気になるな」と仰る方がいますが、それは同じボトルであっても味わいに多少ばらつきが出てしまうことがあるためでしょう。

このようなバラつきにどう対処すべきでしょうか。答えは簡単で、「試行回数を増やす」ことです。飲んだ時の味わいがたまたまブレていた味わいであっても、試行回数を増やすことでより尤もらしい状態に落ち着きます(このことは統計学で平均への回帰といわれています)。

試行回数を増やすことで、Cのようにたくさんの円の中心の共通した部分、ここでいうと色が濃くなった部分が見えてきます。ここがらしさといえる部分になります。

大事なことは、パラメーターを固定したかららしさの部分が見えてくるということです。全然ばらばらのものをたくさん重ね合わせたところで、きれいな輪郭は出てきません。

上の図ではパラメーターを固定したことを色で表しました。下の図のようにあまりにバラバラだと、共通項が分かりにくくなってしまいます。

前の方でお話した、香味の解像度を上げる練習としてやるにはそこまで問題になりません。振り返れば、前の解像度は香味という部分のみでウイスキーを見ていました。今回はより拡張した考え方といってもいいかもしれません。

そして、先ほどのらしさが分かってくるようになると、ほかのものと比較できるようになります。先の例の95と97のクライヌリッシュなどでいいのですが、次の図で考えてみるとどうでしょうか。黄色を95のクライヌリッシュ、緑が97のクライヌリッシュとすると、それぞれのらしさの共通項が、クライヌリッシュに共通する香味=ハウススタイルと考えることができるでしょう。

このようにして、香味はただ表現するのがゴールではなく、比較して理解していく側面があるのだということを知っていただければと思います。このような比較を樽・年代・蒸留所・開栓直後と時間が経った後、、、などいろんな視点で比較していくことで、ハイコンテクストにウイスキーが捉えられるようになります。

Aさん
Aさん

確かに、ボウモアのピートはラフロイグよりも少し優しい?感じがするかも?

Bさん
Bさん

プルトニーの塩気がよくわかりました!古い年代もあるのかな?

Cさん
Cさん

Aさんの指摘はその通りだと思うよ。大事なことは自分の言葉で、違いを感じて表現することで、そのための大事な一歩だね。Bさんもバーなどで古いプルトニーがあったら飲んでみて比較できるといいね。

脱・ウイスキー初心者への道も早いもので最後で終わりになります。メインのコンテンツはほぼ終わりで、最後はあとがきのようなものです。

良ければ最後までお付き合いいただければと思います。

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